■建築研究資料

1974年伊豆半島沖地震被害追跡調査報告

杉村  義広

建築研究資料  No.11,  1976,  建設省建築研究所


<はじめに>

  昭和49年5月9日に発生した1974伊豆半島沖地震によって,静岡県南伊豆町各地に生じた建築物の震害様相はその大半が擁壁等を含む造成地盤の破壊に起因するものであり,とくに断層付近に位置する地域において被害程度が著しい傾向にあった。この地震直後には各研究機関による震害調査が実施されているが,これらの地域では地盤の土質および力学的性質のついての基礎的な資料が殆どなく,その整備が緊急であることが共通した要請事項の一つとして残されていた。
  本研究では以上の事情を考慮して,いくつかの震害調査報告文1),文2)に継続して,主として南伊豆町各地における建築造成地盤を対象とし,その後の現地実態追跡調査を行い,造成地盤の耐震性を解明するために必要な基礎的資料を提供することに努めた。調査内容は,伊浜,落居,西子浦,入間,中木,石廊崎,下賀茂,加納の8地区における合計13カ所のボーリング調査と1カ所の試掘調査,地震断層と建物および造成地盤の被害との関係やその後の復旧状況に関する追跡調査,表層の土質に対する各種室内実験などからなっている。地震断層が顕著に観察され,造成地盤の被害様相が典型的であった入間および石廊崎の両地区については,とくに縦横高低差測量などの調査もあわせて実施することにした。
  なお,この研究調査は科学技術庁特別研究促進調整費による「1974年伊豆半島沖地震に関する特別研究」の一部として実施したものであり,調査時期は昭和50年3月である。


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