■建築研究資料

都市における道路網の整備水準評価

浅野  光行,   桐越  信

建築研究資料  No.,  43,  建設省建築研究所


<概要>

  我国の諸都市では、近代的都市整備の歴史が浅く、社会資本ストックとりわけ都市形成の骨格をなす都市内道路の整備が著しく立ち遅れている。今後、大多数の国民が都市地域に居住することが予想されるなかで、都市における生活・生産の基盤である都市内道路を整備し、良質の都市ストックを形成していくことは極めて重要な課題である。
  道路網の整備水準の検討にあたっては、マクロな公共投資のあり方をはじめ、市街地の形態、土地利用、コミュニティの形成などの都市計画上の視点、交通処理、バス網、歩行者空間等の道路交通対策上の視点、さらに避難路、延焼防止、消防用道路などの都市防災対策上の視点などの様々な視点が存在する。本研究ではこれらのうちの土地利用、交通処理などの視点から道路網整備水準の評価について検討している。
  はじめに、研究の背景と目的を明らかにし、道路の多様な機能、その種別、機能と種別の関係、諸外国の道路網の考え方、道路網整備水準評価の考え方などを、研究の基礎となすものとして第2章にまとめている。前述したように、整備水準のあり方についてはいろいろな視点があり、本研究ではその一端に手を着けたにすぎない。したがって、この章で述べる考え方は今後さらに研究を進めるべき側面も持っている。
  第3章には、この調査のフィールドである静岡県浜松市の道路ストックの調査結果をまとめている。 本研究では、道路の整備水準について道路の密度と道路網の形態 または性能という2つの側面からアプローチを行っている。
 第4章にはこのうち密度から見た整備水準について、土地利用特性との関連、および交通需要との関連で分析を行った結果をまとめている。
  第5章にはもう一つのアプローチについて述べている。第4章で示された密度による整備水準の表示では、ネットワークの形態や整備のされ方によってそのネットワークが都市交通に対してどのようなパフォーマンスを示すか明らかにすることはできない。そこで、ネットワークの性能を示す指標を密度指標以外に検討した。この章で述べる内容は、主として交通需要との関連で検討された結果である。また、この結果を整備水準算出に反映して行くには今後更に検討すべき課題が残されている。しかしながら、ネットワークとしてのとらえ方の重要性についてはある程度示し得たと考えられる。
 第6章には、これらの点を含め、研究結果のまとめと今後の展望を述べている。


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