■建築研究資料

佐倉市における住宅生産ネットワークに関する調査研究

野城  智也

建築研究資料  No.76,  March  1992,  建設省建築研究所


<概要>

  この資料は、地域の住宅生産に関する研究の参考に供する為に、住宅建設が活発な千葉県佐倉市における住宅生産にかかわる主体の特性と主体同士の相互関係に関する総合的調査研究によって得た分析結果を編纂したものである。

  具体的には、以下の調査から成る。

(1)建築計画概要書の全数調査(3章)
(2)住宅供給主体に関する調査(4章)
(3)専門工事業者に関する調査(5章)
(4)建設業許可業者に関する調査(6章)
(5)住まい手に対する調査(7章)

  この調査分析資料は以下のような特質を持つ。

(1)  一地域のなかで住宅の供給主体、施工主体及び住まい手のそれぞれの特性と、お互いの相互関係(ネットワーク)の特質をとらえた総合的横断なものであること。(既住調査研究では、膨大な労力がかかるなどの調査制約から、例えば施工主体の特質など、限られた主体の特性や、限られた主体同士の相互関係のみが調べられ、その地域の住宅生産の全体像を正確にとらえることが困難であった)
(2)  佐倉市は、かつては独自の経済圏と、地縁関係を保持した地方都市であったが、現在は、東京を中心とした首都圏の通勤圏に組み込まれ、人口規模に対して著しく大きな量の住宅新規建設が行われ、様々な住宅の供給主体、施工主体が市外、県外から進出し活動を行っている。佐倉市はいわば、昭和63年時点の首都圏の住宅生産の「最前線」に位置しており、本調査では、「最前線」におけるクリテイカルな状況を見いだすことができたこと。(佐倉市のマクロ的な特性)
(3)  一方、佐倉市の市街化調整区域を一体的広範囲にとるという都市計画の方針と、地形的な特質から、城下町の系譜をもつ旧市街地、昭和40年代大規模新規開発地区、昭和50年代大規模新規開発地区、昭和60年代大規模新規開発地区など特性の異なったコミュニティーが、斜面緑地や広大な田畑で区切られ、空間的に重なりあうことなく存在している。これらの地区の住宅生産の状況を比較することにより、佐倉市という限られた地域のなかで、開発年代の相違と住宅生産ネットワークのありかたの連関性を比較検討することができたこと。(佐倉市のミクロ的な特性)

研究組織
  本調査研究は、佐倉市地域住宅計画(HOPE計画)における住宅生産ネットワークを契機に、建設省建築研究所研究員野城智也と、千葉大学建築学科安藤研究室が連携し、調査の企画、設計、実施、分析作業に至るまで共同で行ったものである。

佐倉市における住宅生産ネットワーク調査研究組織
 野城智也(調査当時  建設省建築研究所第五研究部設計計画研究室研究員)
       (現   在  武蔵工業大学助教授)
 安藤正雄(千葉大学建築学科講師)
 小野宗良(調査当時  千葉大学建築学科安藤研究室 現在 日本建築センター)
 蟹澤剛宏(千葉大学建築学科安藤研究室)
 花山佳子(調査当時  千葉大学建築学科安藤研究室)

謝辞
  調査実施にあたり、ひとかたならぬお世話になった、佐倉市役所都市計画課の担当者をはじめ、佐倉市地域住宅計画(HOPE計画)関係者各位に厚く御礼申しあげます。


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