■建築研究資料

成熟都市シミュレータ Ver.1.0 + 景観シミュレータ Ver.2.05 実務マニュアル

小林  英之

建築研究資料  No.96,  2000,  建設省建築研究所


<概要>

1.システムの全体構成
 本建築研究資料に収録されたシステム群は、別研究課題により開発されたものですが、実務上は、協調的に使用することができるような機能を有しています。

(1)建設省版・景観シミュレーション・システム
 景観シミュレータを中心とするソフトウェア群及びデータベースは、建設省総合技術開発プロジェクト「美しい景観の創造技術の開発」(平成5〜8年度)の中で開発したものであり、3次元モデルの構築・表示と写真合成の機能等を有しています。平成9年11月に建築研究資料No.92として公開したものに対してデバッグを加え、安定性・操作性を向上させたものです。同じパソコン上にインストールすることにより連携して動作します。

(2)成熟都市シミュレータ
 成熟都市シミュレータは、特別研究「成熟社会に向けての都市解析データと都市評価プログラムの開発」の中で作成したものであり、インフラ・敷地割・都市計画条件等を仮定した上で、年年歳歳の市街地の変容をシミュレーションするものです。出力装置として、景観シミュレータに、ネットワークを通じてデータを送出し、その時点での市街地の3次元的な形状を表示することができます。

 本建築研究資料は、主に景観シミュレータの機能別に操作方法を説明した前記資料を補い、主に事業タイプ別にみた設計検討の実務上の各局面において、どのような資料に基づき、どのような機能を用いてデータを作成し、どのように表示するか、という例示を中心に使用方法を解説したものです。
 さらに、上記の二つの研究開発と同時に行われた官民共同研究「地域の将来像の3次元的検討システムの開発」により、以下の機能(有償)が景観シミュレータと協調的に使えるようになり、本格的なデータ作成が容易になりました。

(3)富士通「リアルモデラー」
 これは、デジタル・カメラで撮影したデータから簡便にテクスチャ付き3次元形状データを生成する機能を有する商品ソフトです。共同研究では、景観シミュレータで用いる LSS-G, SGI 形式のデータに変換する機能を作成しました。このコンバータはフリーウェアとして無償提供しています。また、本マニュアル用に、機能を限定した体験版を提供して頂いております。

(4)アジア航測「3次元データベース」
 同社では、ステレオ空中写真からテクスチャ付きの地形、及び既存建物の3次元形状データを作成するサービスを提供しています。共同研究では、作成されたデータを検索し、景観シミュレータで、市街地現況等として利用できるように、LSS-G, SGI形式のデータとして出力する検索・変換機能を作成しました。このコンバータ、及び幕張地区のサンプルデータを無償公開しています。

 これらについては、III.で機能解説するとともに、これらの機能を用いると便利な場合について、I.で適宜具体的な使用方法に即して紹介しました。

2.本建築研究資料の構成
 本書は、まずI.応用編から入っています。この、いくつかの具体的な用例の中から、自分の現場で行っている業務のどのような部分にこのシステムが利用できそうかを見出して下さい。そして実際にサンプル・データを使いながら、動かしてみて下さい。実際に動かすためには、III.を参照の上、御手許のパソコンに、景観シミュレーション・システムをインストールし、「優良景観データベース」から、I.で紹介されたサンプル・データを検索するのが便利です。官民共同研究の成果については、本書にはコンバータ及びサンプルデータのみが提供されています。各システムについては、各社のホームページ等から情報を取得して下さい。なお、優良景観データベースの中に、操作過程をスナップショットした画像だけを収録したものが、現場毎に用意されています。これを参照して頂けば、データ作成の過程などを知ることができるでしょう。
 II.は、景観シミュレータの開発後、これを応用するシステムの一例として開発した、都市の成熟過程をシミュレートするシステムです。旧来のマニュアル等がないことから、一つの編を立てて説明しています。具体的な用例は、土地区画整理事業に関して応用した事例をI.で紹介しています。他に、一般市街地の都市計画検討や、歴史的街区などに適用することができると期待しています。
 III.は、前版「操作自習の手引き」を、新たな機能の解説も含めて改訂したものです。応用編を参考に、実際に使ってみたい方々のために、各種機能の使用方法を、個別的に解説したものです。
 IV.は、官民共同研究等の成果を紹介しています。具体的な用例については、I.に既に紹介しています。ここでは、共同研究の経緯・開発内容などについて技術的に説明しています。
 V.には、エラー・メッセージ、デバッグ記録、収録したデータの一覧等、実務ユーザーにとっても便利な技術資料をまとめています。


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