■建築研究報告

木造建築物の再資源化・資源循環化技術の開発
- その1 木造建築物の物質循環算定手法の開発 -

小玉祐一郎、岡 建雄、河合 誠、野口貴文、服部順昭、山畑信博、清野新一、中島史郎

建築研究報告 No.140,March 2004  独立行政法人建築研究所


<概要>

 木造建築物の建設、解体、処分による環境負荷を定量的に算定することが可能になれば、設計・施工方法や解体工法、並びに解体材の処分方法を選択する際の判断材料を提示することが可能にある。再資源化しやすい建築材料を積極的に使用することによる環境負荷低減効果や、分別解体しやすい設計・施工法を採用することによる環境負荷低減効果など、環境負荷を減らすために講じられた様々な工夫や努力を客観的な指標を用いて算定することが可能になれば、環境負荷低減に対する個々の取り組みを支援し、その普及を促すことにもつながる。
 一方、リサイクル原料から建材を製造する方がバージン原料から建材を製造するよりもはるかに多くのエネルギーを消費する場合がある。すなわち、解体材の最終処分量を削減するためにとるべき行為と、建築物の建設・解体・処分時におけるエネルギー消費量を削減するためにとるべき行為が、相反することがある。このような場合、状況や目的に応じた最適な対応方法を見つけることが重要であり、そのためのツールが必要である。
 本研究開発プロジェクトでは、木造建築物の建設、解体、処分という一連の活動における物質の流れと関連するエネルギー消費量(CO2排出量)を算定するために必要なデータを収集し、データベースを作成した。収集したデータは、

  1. 主要建材の製造時におけるエネルギー消費量・CO2排出量原単位
  2. 主要建材の製造時における資源消費量原単位
  3. 解体工事におけるエネルギー消費量・CO2排出量原単位
  4. 解体材の輸送距離データ
  5. 中間処理場・最終処分場でのエネルギー消費量・CO2排出量原単位
  6. 解体材の再資源化に係るエネルギー消費量・CO2排出量原単位

などである。また、作成したデータベースをもとに、個々の木造建築物について、建設、解体、処分過程における資源消費量、解体材排出量、エネルギー消費量(CO2排出量)を定量的に算定するためのツールを開発した。さらに、同ツールを用いて既存の枠組壁工法建築物と同研究開発プロジェクトで開発した分別・解体しやすい枠組壁工法建築物を対象として廃棄物排出量及びCO2排出量についての試算を行った。



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