■建築研究報告

コンクリートおよび軽量コンクリートの強度に関する研究

平賀  謙一

建築研究報告  No.22,  1957  建設省建築研究所


<概要>

  コンクリートの破壊強度式についは、従来有名なAbramsの実験式あるいはOtto Graf, Talbot等の実験式であるが、上記実験式はペースト強度より大きい骨材を用いたときの式であり、ペースト強度より弱い骨材を用いた軽量コンクリートにはまったく当てはまらない。
  軽量コンクリートの強度はセメント、骨材の種類(骨材粒度、粒度配列も含んで)、それぞれの強度およびセメント量、水量、骨材量等それぞれによって支配される。これらがどのように強度に影響するかは極めて難しい問題であるが、著者は1951年実験によってこれらの関係を見出し実験式を提出した(「軽量コンクリートの強度要因に関する研究」「軽量コンクリートの圧縮強度と弾性係数」セメント技術協会1951年度年報)。
  この実験式は種々の骨材に対してよく合うことが実験されたが、しかしやや複雑であるのと、理論的に説明し得ない個所があった。
  じらい理論的に十分説明し得ると同時に、実用的にも明瞭簡単な式を見出すために努力しつづけてきたが、ようやく自信のある理論式を誘導し得た。今般たまたまここに機会を得て発表することにした次第である(この式に関しては、1953年度および54年度建設省建築研究所発表会で発表したが(建設省建築研究所発表会目録参照)しかし実はこのときまでには理論についてはなお若干の疑問が残されていたので、理論の発表は行わなかった)。この式は普通のいわゆる川砂、川砂利コンクリートおよび各種軽量コンクリートの実験値とも極めてよく一致する。この理論式から、いわゆる水−セメント比説、空隙説も説明し得た。Abramsの実験式の常数の意味もこれによって明瞭に説明し得たと思う。しかしこの式はまったく新しい理論のもとに誘導されたものである。このような新しい理論は実験がそれに伴われ、事実上証明されたとはいえ、ともすればひとりよがりのものでありがちである。ぜひ厳正なるご批判を仰ぎたいと思う。なおこの理論はコンクリートと同様な構造破壊性状をもつ混合体にも広く適用されると考えられる。

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