■建築研究報告

建築構造の安全性に関する研究の現状  
−実用的な危険度の計算方法について−

中野  清司

建築研究報告  No.73,  1976  建設省建築研究所


<概要>

  この報告は、建築構造物の安全性に関する諸研究の現況を概観したものである。
  広義の“安全性に関する研究”にはおよそありとあらゆる建築構造に関する研究が含まれる。すなわち、設計に用いる荷重や外力の特性に関する調査・研究、構造材料・部材・架構などの力学的性質に関する研究、応力解析手法などに関する研究などは、何れも安全性の追求が終局の目的であるという意味で、“安全性に関する研究”であるといえる。
  しかしながら、本報告で扱う研究は、狭義の“安全性に関する研究”である。すなわち安全性の目標値が定められた場合に、上述の広義の安全性に関する研究から得られた諸知識をどのように組み合わせれば、その目標が達成できるかというのが、本報告の中心課題である。
  上述の狭義の研究の中に“目標値”そのものを含ませるべきか否かについては、研究者の間にもさまざまな意見があるようであるが、筆者の考えでは、“目標値”そのものは、いわゆる学際的研究課題であって、建築学の分野の研究、いわんや建築構造学の分野の研究のみでは論じ尽せるものではない。しかしながら、まず第一に着手すべきことは、多数の要因から構成されている建築構造物の安全性を、出来るだけ少数の要因で、定量的に表現し、前述の学際的研究につなげることであり、この事はまさに、建築構造分野に携わる者の責任であると考えられる。このような意味で、本報告には“目標値”に関しては、その表現形式(フォーマット)までの研究を包含している。
  参照した文献の範囲は、地域的にはやや米国に偏りすぎた感じもあり、また安全性に関しては、原子炉構造物、医薬品などの分野でもかなり突込んだ研究があるがこれらについては触れていない。したがって、例えば、Fery Borgesの一連の研究や、Norman C. Rasmussenの研究などは紹介していない。これらについては他日を期したいと思う。



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