■建築研究報告

デュアルモードトラックシステムの大都市圏における適用性」

棚橋一郎, 黒川 洸, 浅野光行, 森岡秀悟, 松谷春敏, 桐越 信

建築研究報告  No.98  1982  建設省建築研究所


<概要>

  大都市圏を中心とする物流問題は各種輸送施設の整備の遅れと相まって早急な解決を要する課題となっている。本研究では,この物流問題に対処するため,一般貨物を輸送対象とするDMTシステムの大都市圏への適用可能性について検討することを目的としている。具体的には,東京都市圏を検討の場として取り上げ,一般貨物を対象とするDMTシステムについて考えられるいくつかのケースを,本研究で開発・整備した総合評価のフレーム,及び各種の評価手法を用いて検討することにより,適用の可能性とその条件について明らかにする。
  はじめに,本研究で検討の対象としたデュアルモードトラックシステムの基本特性について確認し,利用形態および運営形態も含め,このシステムを一般貨物輸送システムとして東京都市圏へ適用する場合の適用の基本的考え方について検討する。つぎに,本研究で検討した総合評価フレームに従って,適用性評価のための手順及び各種評価手法の整理を行う。評価手法については,経営収支や費用便益などの評価項目に対応させて,DMT需要予測モデル,費用便益分析モデル,経営収支モデル,環境評価モデル,省エネルギー評価モデル,便益分布評価モデルを開発・整備している。東京都市圏を対象としたケーススタディについては,はじめにケーススタディ実施の基本的考え方を整理し,一般貨物輸送システムとしてのDMTシステムについて,対象地域,対象トリップ,利用形態,および運営形態について,具体的に検討したうえで,GWの導入ルートとして,臨海ルート,南北ルート,内環ルート,環7ルートの4つのルートを設定している。これらの設定された4つのルートをもとに,DMT車両価格(対CT),GW走行料金,GW走行速度,一般道路の貨物車規制をパラメータとして11通りの分析代替案を作成し,本研究で開発・整備した機関分担および経路配分予測連動ブロックを含むDMT需要予測モデルによる分析代替案ごとの需要予測を行っている。需要予測の結果をもとに,本研究で開発・整備した評価手法によって,はじめに評価項目別の評価を行い,つぎに経常収支と費用便益の同時評価により適用性評価についてまとめると同時に今後の課題について検討している。
  検討の結果,DMTシステムの適用条件や運用条件等に関して,今後の検討課題として,DMT車両の価格低廉化,GW走行速度の向上等の性能向上による経営採算性の向上,GW料金の設定と補助制度とを絡めた費用及び便益の合理的な分担法の検討,貨物車規制等の他の施策との併用によるDMTシステム導入の円滑化などがあげられる。

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