音/波動の特徴

 私たちの暮らしの中には、いろいろな音があふれています。音の伝わり方について考えてみましょう。
 物理学的にいうと音は「波動(はどう)」のひとつです。波動とは、波(振動)が周囲に広がっていく現象をいいます。音の場合は空気が振動して伝わり、耳の中を刺激されることにより人は音として感じています。
 音以外の「海上の波」、「地震波」、「電磁波」、「光」なども全て波動の一種です。音を中心に、波動のもつ特徴をみてみましょう。波の要素として「振幅」、「周波数」、「波長」があり、速度=周波数×波長の関係が成り立ちます。音速は秒速340m。低い音(周波数が低い)ほど波長が長くなるわけです。
 波動の特徴の1は「反射」「屈折」=光が空気中から水中に斜めに入る現象を理科の授業で覚えている人もいると思います。一部は水面上で跳ね返り、一部は水の中に折れ曲がって入っていきます。それぞれの現象を反射、屈折といいます。この現象は、音でもみられます。
 その2「干渉」=2つ以上の波が重なった時に、波が強め合ったり、弱め合ったりする現象です。この現象を利用して、最近では「ノイズキャンセリング」機能をもつヘッドホンが発売されています。これは、周囲の音(波)を打ち消す波を発生させ、波が弱め合うことにより周囲の音を小さくします。
 その3「回折」=音の方向に壁など遮へいし見えなくしても聞こえてくる場合があります。これは、音の波が壁の上を回り込んでくるためです。この現状を回折といいます。これは、波長が長いほど起きやすい現象です。携帯電話が基地局のアンテナが見えなくても電波がつながるのも、波長が長いため、回り込んでくる回折のためです。
 イルカやコウモリなどの生物は、人間には聞こえない高い周波数の波(超音波)を出すことが知られています。超音波は直進性が高いため、反射波を捉えてエサや障害物の距離を図ることができます。医療の場面でのエコー検査も超音波の反射波を利用して、体の中を見ることができます。
 このように、生活の中での音は騒音というイメージが大きいかもしれませんが、波動の特性を生かしいろいろな生活の場面に応用されてきています。
(建築研究所 環境研究グループ 平光厚雄)


音の図解


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