竜巻の風/右巻き?左巻き?

 竜巻という言葉はご存じだと思いますが、目撃されたことはありますか?写真は1999年に愛知県豊橋市で発生した竜巻で、真っ黒い雲が下方に突き出して地面に接しています。下向きの円錐形の渦巻きを真横から見ていると考えてください。このほか象の鼻のように細長い筒状のものもあり、竜巻に伴って発生するこれらの雲を漏斗雲と呼んでいます。

【写真】豊橋竜巻
豊橋竜巻

 竜巻は台風と同じように渦巻き状の風です。台風の渦巻きは左巻き(時計と反対方向)ですが、それでは竜巻の渦巻きも左巻きでしょうか?竜巻も台風と同じように左巻きが多いですが、まれに右巻きの竜巻が発生することがあります。
 台風のような巨大な渦巻きは地球の自転の影響を受けて、北半球では左巻きの渦巻きになり、南半球では右巻きの渦巻きになります。ところが、竜巻の渦は台風に比べて非常に小さいため、地球の自転の影響は小さくなり、右巻きと左巻きの両方の可能性があると言われています。
 台風に比べて非常に小さな、その竜巻の渦も、中心付近の風はとても強く、風速は推定で毎秒50〜100メートルくらいあると言われています。
 また竜巻は回転しながら移動するため、その被害は帯状に分布し、被害の境界線が明確なのも特徴です。屋根が吹き飛ばされた住宅の隣の住宅には、目立った被害がないということもあります。
 竜巻によってさまざまな物が巻き上げられ、遠くまで飛ばされます。重さが1トン以上あるような乗用車が10メートル以上も飛ばされたりすることがあります。2006年に北海道佐呂間町で発生した竜巻では、重さ13キロもあるような合板が約14キロメートル先のサロマ湖まで飛ばされたことがありました。7月19日に岡山県美作市で発生した突風被害でも、瓦や木切れ等の飛散物で道路がいっぱいになり、軽乗用車が約100メートルも飛ばされました。

【写真】美作突風
美作突風

 建築研究所では、建築物の強風被害を軽減する目的で、竜巻や台風による建築物の被害が発生したときに、現地に行って被害状況や被害原因の調査を行っています。
(建築研究所 構造研究グループ 奥田泰雄)


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