RC構造/コンクリートと鉄筋のシナジー効果

 鉄筋コンクリート構造は、コンクリートを鉄筋で補強した構造方法で、日本ばかりでなく世界中で最も広く使われています。鉄筋コンクリートを英語で書くとReinforced Concrete(=補強されたコンクリート)となり、建築分野ではその頭文字を取ってRC構造と省略して呼びます。
 RC構造は、フランスの植木職人モニエが、1867年にコンクリートの植木鉢を鉄筋で補強してRC構造の特許を取得したのが始まりとされています。コンクリートや鉄(多くは鋳鉄)を使って建物を補強する技術は、古代中国や古代ローマまで遡ることができますが、現代につながるRC構造は150年ほど前に誕生したことになります。
 コンクリートは、セメントと骨材(砂利と細かな砂)と水を混ぜて作るハイブリッド材料です。まるで石のように硬く、圧縮に対して非常に強い反面、引張に対しては大変弱い性質を持っています。鉄は、引張に対しても圧縮に対しても、コンクリートに比べて10倍以上も高い強度を持っています。しかし鉄筋は、引張に対しては本来の強度を発揮しますが、圧縮に対しては座屈という現象を起こして、小さな強度でグニャッと曲がってしまう性質があります。
 そこで、鉄筋をコンクリートに埋め込んで使うと圧縮に対してはコンクリートが力を負担し、引張に対しては鉄筋が働いて、圧縮にも引張にも強い構造物を造ることができます。また、コンクリートの中にある鉄筋は、さびの発生や火災などの熱からも守られるので大変都合が良いといえます。このように、コンクリートと鉄筋はお互いの持ち味を相乗的に高め合う非常に相性の良い組み合わせで、最近の言葉でいえばシナジー効果を十分に発揮している構造といえます。コンクリートと鉄筋が一体となって働くように、通常は、表面が凸凹した異形鉄筋を使います。
 かつて、RC構造では12〜13階程度の建物が限界と考えられていました。建築研究所では、高強度コンクリートと高強度鉄筋を使ってRC構造を造ることを目標としたNew RCプロジェクトを1990年代初頭に実施しました。その結果、今では高さ200mにも達するRC構造建物が各地で建てられています。

(建築研究所 構造研究グループ 加藤博人)


【写真】鉄筋を組んで型枠を付けコンクリートを流し込む

鉄筋を組んで型枠を付けコンクリートを流し込む


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