2006/5/26 インドネシアで発生した地震について(暫定)
ここでは,FDSNとGSNの地震観測ネットで観測された地震波形をIRIS-DMCから入手して,解析を行った.地震の大きさはMw6.3程度と小さいために,長周期成分を利用して,地震の重心の深さとモーメントテンソル解を求めた.その結果,震源の深さ40km,断層のタイプは横ずれ型となりUSGSの結果とほぼ一致する.
長周期成分の解析からは,初動から約20秒後に到達する波をsP波と解釈しているために,
震源は深さ40kmと深い位置に求まっている.しかしながら,短周期成分で見ると,得られた震源モデルでは,
PMG,HNR,CTAO,STKA等の観測波形を説明できない.これらの観測点では,期待される時間にsP波を確認する
ことができなく,P波周辺の振幅が大きい.(文責 八木勇治)
追記:(2006/5/29, 16:20) 短周期の波形は,震源域の深さを浅くし,二つのサブイベントを発生させることで,説明できる.
また,防災科学技術研究所 国際地震観測網 によって近地強震動記録(BJI観測点)のNS成分は,
震源が浅い二つのサブイベントが発生させることで,説明できる.以上より,今回の地震は,地震発生直後,サブイベント1が発生し,震源近傍を破壊し,約10秒後に
サブイベント2が,地表ごく近傍で発生したと考えられる.(文責 八木勇治: 筑波大学大学院 助教授; 建築研究所 客員研究員; 防災科学技術研究所 客員研究員)
- 地震モーメント Mo = 0.57 x 10**19 Nm (Mw 6.4);
- 破壊継続時間 T = 15 s以上;
- (strike, dip, rake) = (310, 35, -152)
- 震源: (Lat. = -8.01 Lon. = 110.29, depth= 15 km).
- [ここで,震央はUSGSの値を使用しました.]
断層面上の滑り分布

破壊は,主に,南東方向に伝搬した.
波形の比較(黒:観測波形,赤:理論波形)

防災科学技術研究所 国際地震観測網 によって近地強震動記録(BJI観測点)のNS成分(黒:観測波形,赤,青:理論波形)

遠地実体波(P波)を使用したモーメントテンソルインバージョンの結果

解析に使用した観測点

2006/5/27 21:40