使用方法


操作自習の手引き


ver.2.01 平成9年5月10日
建設省建築研究所第六研究部都市開発研究室

はじめに


景観シュミレータは、いくつかのサブ・システムから成り立っており、ビューワ機能中心の本体に加え、社会現象シュミレーションのモデルとしての都市開発サブシステム、既存のCAD等とデータのインポート・エクスポートのサービスを行う貿易サブシステム、景観データベースを検索・編集する幾つかのブラウザ、エディタ等があり、これらのモデルとして周辺機器を拡充していくことが、プロジェクト終了後の課題となる。
以下、主要なサブシステムについて、機能の骨子を説明する。
1.インストール
Unix版とパソコン版(DOS/V,98) 「景観シミュレータができるまで」で解説したように、景観シミュレータは、マルチ・プラットフォームの考えに基づき、パソコンとUnixマシンの上で平行して開発されました。 Unix版は、基本的にX-Window系のGUIと、OpenGLが利用できる環境に移植可能ですが、現在は、主にシリコングラフィックス社製のIRISシリーズ(OSとしてUnix系のIRIX5.3以上を搭載)の上で使用されています。具体的には、Indy、Indigo2、Onyxといった機種で実際に動作確認しています。
パソコン版は、マイクロソフトのWin32によるGUI、やはりOpenGLが利用できる環境に移植可能です。実際にはWindowsNT3.51以上の環境を主なターゲットとして開発を進め、平成9年に入ってから、要望の多いWindows95に移植した場合に生じる障害に対処、2月末までに主要な問題を解決しました。
 現在の段階では、パソコンの価格性能比がここ数年急速に向上したことから、性能的にもNTマシンの方がやや優勢です。高速グラフィック・ボードを搭載したパソコンは、ワークステーションを凌ぐ処理速度を実現しています。 WindowsNTとOpenGLが利用できる環境としては、この他にAlpha,Mips,PowerPC等をCPUをベースとしたパソコンがあります。但し、Intel系のソフトウェアをそのままインストールしても、エミュレーションにより走行するため、速度の面でCPUの性能を生かすことはできません。同じソース・コードを、これら各CPU専用のコンパイラで処理することにより、これらの性能を引き出すプログラムができますが、現在はまだ需要が大きくないために用意していません。バグが殆ど解決してから、要望に応じてリリースする計画です。
ここでは、主にパソコン版について説明します。
必要なコンピュータの環境条件
(1)OS(オペレーティング・システム)
  WindowsNT3.51/NT4.0 または、Windows95と、Intel486以上のCPUを搭載したパソコン (2)ハードディスクの空き
添付のCD−ROMをフルにインストールするためには、最低300MBの空きが必要です。容量の大半は、景観データベースのサンプルです。これらを用いることにより、容易に景観設計検討を進めることができます。ソフトを試すためには、最小限のデータで済ますことも可能です。殆どのデータを自作するユーザに向いています。建築分野のユーザであれば、土木施設の事例を説明するイメージデータは必要でないかも知れません。 (2)メモリ
WindowsNTおよびWindows95では、仮想記憶機能により、少ないメモリでも基本的には実行可能ですが、速度に大きく影響します。景観シミュレータで簡単な写真合成などの処理を行うだけであれば、通常のワープロ等を使用するメモリ要求条件と大差ありません。地形データや、本格的な土木建築施設の3次元データを扱うためには、最低32MB以上に拡張したいところです。 (3)CPU速度
 WindowsNT/95が動作すれば、CPUが486マシンでも、写真合成等の簡単な操作は十分実行可能です。そこから先は、扱うデータの規模との関係、あるいはユーザーがどれだけのスピードを求めるか、という利用目的と関係します。例えば業務として関係者を集めての評価セッション等を行うためには、PentiumPROのマシンを用意する必要があるかも知れません。 表示処理速度は、CPUとグラフィック・ボードの関係で決定します。グラフィックス・ボードがOpenGLの機能をハードで支援している場合には、表示処理速度は格段に上昇します。その場合、CPUは、表示処理の間は、それが終了するのを待っているだけなので、CPUを速いものにしても全体のスループットはあまり向上しません。景観シミュレータは、マルチ・スレッドの処理を行っていないので、これまでテストした結果では、マルチCPUのマシンでも速度は基本的に同じです。但し、ファイルをロードする時間は、CPUの速度により大きく変わります。
 これに対して、グラフィック・ボードがOpenGLをハード的に実施しない場合(仕様で「サポートする」と書かれていても、デプスバッファの解像度等の制約条件があって実際にはその機能が利用できない場合もある)には、OpenGLの機能をソフトウェアで代行します。この場合には、CPU速度が表示処理速度を決定することになります。。 (4)グラフィック・ボード
 グラフィックス・ボードのOpenGL対応、未対応に関わらず、景観シミュレータは立ち上がりまが、実用面からは、以下の条件が満足されている必要があります。
画面サイズ:最低ヨコ800×タテ600。特に縦がこれよりも小さいと、ウィンドウがはみ出してしまい、様々の処理を指示するボタンが操作できなくなる。
色数:32000色以上が現実的である。256色以下では、形状を確認できるのみである。
3次元グラフィック処理:なくとも走行可能であるが、OpenGL対応グラフィックス・ボードが装備されていると、格段に速くなる。但し、ボードにより、この機能を利用するためには、画像のサイズを小さくしなければならなかったり、またデプス・バッファを16ビットにしなければならないものがあります。景観シミュレータでは、デプス・バッファを24ビット以上としないと、市街地等を表示した場合に建物の縁が鋸状になったりする現象が現れます。 現在、多くのOpenGL対応グラフィックス・ボードが発売され始めています。これらが有効かどうかについて、テスト結果を集約したいと考えています。
インストーラ(景観シミュレータのセットアップ)
 インストーラは、CD−ROM中の圧縮されたデータを解凍しながらサンプル・データを含めて250MB程度をインストールします。しかし、この領域の80%以上は、サンプル・データです。従って、小さな空き容量しかないシステムで、一時的に景観シミュレータのテストを行いたい場合には、バックアップ等を行って一時的に空き領域を300MB程度確保し、ここに景観シミュレータをインストールした後、当面必要ないサンプルデータを消去する方法があります。
インストーラは、WindowsNT用に作成されています。CD−ROMの \INSTALL\SETUP.EXEを実行することにより、インストーラが立ち上がります。
 添付のCD−ROMでは、デフォルトでProgram Filesというディレクトリに景観シミュレータをインストールするようになっている。95あるいはNT4.0にインストールした場合に障害が生じる場合があります。ユーザーが、例えば¥keikanというディレクトリを指示する方が安全です。
 95にインストールする場合、Autoexec.batをユーザーが書き換える必要があります。具体的には、Autoexec.batに、
 SET KSIM_ENV=■■■¥KSIM¥BIN¥KDBMS.SET
という一行を加えます。■■■の部分は、ユーザーが景観シミュレータをインストールした場所で、例えばB:¥KEIKANというディレクトリにインストールした場合には、
 SET KSIM_ENV=B:\KEIKAN\KSIM\BIN\KDBMS.SET
となります。
古いヴァージョンの95にインストールする場合、CD−ROMの\keikan\95ディレクトリから、OpenGL32.dllおよびGLU32.dllを、[keikan]\ksim\binまたはWindows95\systemにコピーする必要がある。WindowsNTと、95の両方を立ち上げ可能になっているシステムでは、競合しないように、後者にコピーする必要があります。NT用のOpenGLと、95用のOpenGLは異なっており、混用するとシステムが動きません。
 最初からOpenGLが入った新しい版のWindows95を用いている場合、あるいは既にCADソフト等の導入に伴って上記の二つのdllがインストールされている場合には、最初からインストールされているものに上書きしないように注意する必要があります。
 これ以外のコンポーネントとして、都市開発シミュレーション、およびデータ・コンバータがあります。CD−ROMの\KEIKAN\都市開発 および \KEIKAN\貿易ディレクトリを、先にインストーラによって作成した[KEIKAN]ディレクトリにコピーする(即ちKSIM,KDB等と横並び)のが便利です。これらの周辺コンポーネントのインストールは、マニュアルで行うようになっているので、ショートカットの作成、アイコンの登録等は、それぞれのシステムで行って下さい。
 なお、貿易コンポーネントをCD−ROMからコピーした場合、いくつかのコントロール・ファイルが、書き込み禁止になってしまうために障害が生じます。*.cntという拡張子を持つファイルを、書き込み可に変更するか、削除して下さい。

■■■間に合えば、この部分を改めます。CDの側で解決すれば、この部分は簡潔になります。
アン・インストール
インストーラのアン・インストールを実行する。または、[keikan]以下を削除します。
95の場合、autoexec.batからset KSIM_ENVの項目を削除し、 OpenGL32.dll、GLU32.dllをコピーした場合は、これらも削除します(残っていても実害はないとは思いますが)。

2.立ち上げ・終了
・マルチタスク
景觀シミュレータと関連するソフトウェアは、マルチタスク環境で実行できるようになっています。複数の景觀シミュレータを実行させ、シミュレーション結果を一つの画面の上で横に並べて比較したり、都市開発シミュレーションやファイルコンバータを同時に走行させ、それらが生成したデータを直ちに受け取って表示するような使い方ができます。
景觀データベースと景觀シミュレータは、特に、有機的な関係で結ばれており、景觀シミュレータの中で、風景の中に点景を配置する場合に、景觀シミュレータの中からデータベースを起動して、検索結果を直ちに配置することができます。また、景觀データベースの中に登録されている3次元形状を参照したい場合には、データベースが、機能を制約した景觀シミュレータ、即ちデータを削除したり変更できないように制限した景觀シミュレータを自動的に起動し、これにより検索した対象物を色々な角度から眺めることができます。
・メイン・メニュー
景觀シミュレーション・システムの様々のコンポーネントを起動するためのトップメニューがkeikan.exeである。ウィンドウズ版では、アイコンを登録することにより、あるいはデスクトップにショートカットを作成することにより、この機能をより使いやすい形で実現できるので、ユーザーはこの機能をあまり必要としないかも知れません。
・景觀シミュレータ
sim.exeである。これを起動するためには、メイン・メニューから景觀シミュレータを起動する以外に、sim.exeにアイコンやショートカットを登録し、起動しやすい場所に置いておくことができます。筆者の下では、開発途上・デバッグ中の複数の実行形式を例えばsim0306.exe, sim0320.exe等の名前を付け並べておいて、選択的に起動して機能試験を行っている。
・景觀データベース3種類
yuu.exe :優良景観事例データベース
kou.exe :景観構成要素データベース
zai.exe :景観材料データベース
 なお、以上の実行形式は、keikan\ksim\binの下に置かれています。このディレクトリの中には、他にhsteel.exe、sphere.exe 等の名前をもつ実行形式が置かれています。これらは、単独で実行するソフトウェアではなく、景観シミュレータの中から、パラメトリックな形状を展開する際に呼び出されるものです。一定の規約に従って、ユーザーはこれらの能動的な景観部品を追加していくことが可能です。
・都市開発シミュレーション
 CD−ROMからコピーした都市開発ディレクトリの中の、fullscr.exeのショートカットまたはアイコンを登録し、これを実行します。
・貿易
 CD−ROMからコピーした貿易ディレクトリの中の、貿易.exeのショートカットまたはアイコンを登録し、これを実行します。

lesson 0.基本的な操作:ファイルを開いて、点景・情景を見る


図1:Image1.tif
ファイルを開く
システムが無事、立ち上がったら、サンプルのデータを開いて見るのが最も手軽に景観シミュレータの概要を理解する近道です。
・LSS−G形式とLSS−S形式
LSS−G形式は点景、LSS−G形式は情景です。いくつか選んで開いて頂ければ直感的にわかるでしょう。
・編集結果の保存
 上書き保存、名前を付けて保存、という機能は、ワープロ・ソフトなどと同様です。
視点を移動して見る
 視点移動を行うためには、画面下部の回転・拡大縮小・シフトのボタンをクリック操作します。
 対象物を回転・移動させると考えずに、「自分が矢印の向きに動く」、と考えて操作して下さい(あくまで景観なのですから)。
入力に使用した図面などから視点位置・注視方向等の座標値が判る場合には、[編集]−[視点座標]メニューで数値入力すると、正確なパースが得られます。
 対象物の手前が欠けて見える場合には、Near−Farによる、最近・最遠の範囲設定が不適切と考えられます(あまりに巨大あるいは微小な対象物を見ている場合)。その場合も視点座標メニューで、適切な値を設定します。
 デプス・バッファのビット数が少ない場合(例えば16ビットの場合)、この幅を不必要に大きくすると、景観構成要素の縁が鋸状になったりします。
全体視界、初期表示
[表示][視点]で指定します。
 景観の中を動き回っている内に、自分がいる場所がわからなくなったり、対象物を見失った時に役立つ機能です。例えば後述の形状生成で、誤って巨大な物体を生成して、その中に自分が包み込まれてしまったような場合、全体視界の機能が救ってくれるでしょう。初期表示は、LSS−Sファイルを最初に開いた時の視点位置に戻してくれます。
パース、平面、立面、側面
[表示]で選びます。図面のように見たい場合に役立ちます。通常はパース(透視図)の状態で使用します。
グリッド
 平面、立面、側面の時に、グリッドを表示します。対象物の大きさ等を見るときに便利です。
アンチエリアシング
 CG特有の、ギザギザを解消するための機能です。そのかわり表示速度が遅くなるので、気に入った視点が見つかってから、じっくり見たり、印刷するときに使います。
操作の実際:[ファイル][開くLSS−G]で、例えば001_01.geo(街頭)を開いて、アンチエリアシングをONにし、精度を変えて、表示がどう変わるか比べて見て下さい。 終了
[ファイル][終了]で、景観シミュレータを終了します。
 なお、大量のデータを処理した場合、メニューの終了ではなく、ウィンドウ・メニューの「閉じる」または95では×印をクリックする方が、速く終了します。

lesson 1.マテリアル・テクスチュアの編集

図2:Image2.tif
hodou1.scn
図3:Image3.tif
hodou1.scn

編集をしたところ 

[編集][マテリアル・テクスチュア]で編集します。
対象物の表面仕上げの色彩、テクスチュア等を編集することができます。
対象物は、画面中の対象物をマウス・クリックで選択することにより縁に朱線が付いて強調表示されます。
仕上選択は、マテリアル・テクスチュア機能により指定します。この機能では、補助ウィンドウを開いたまま、次々と対象を替えて編集することができます。
対象物が構造化されている場合、親グループを選択し、一括して指定することもできます。また、選択モードを面にして、一つの面だけを編集することもできます。
 カラーのラジオボタンを選ぶと、3原色をスライドバーで編集することができます。
 マテリアル・モードでは、メニューの[登録色]から表示されるマテリアル表をまず選択し、その表の中の色項目を選びます。Nittoko.mtl を選ぶと、日塗工の標準色見本帳の色コードで材料の仕上色を選択することができます。
 テクスチュア・ボタンを押すと、テクスチュア編集画面が表示されます。手軽には、自動貼り付けの機能で、試すことができます。上級向けには、自分でスキャナーで読み込んだテクスチュアを、位置・スケール・向き合わせを行って貼り付ける機能が提供されています。
この辺の操作性は、開発中のVer.3.0で格段に向上します。

lesson 2.対象物の選択と移動・消去(1頁)

Image5.tif
Image6.tif
点景や情景の中から、一部の対象物を選んで移動したり、消去したりすることができます。
この機能は、マテリアル・テクスチュアとは少し違い、最初に対象物を選択してから行ないます。
やや危険な操作の実際:001_01.geoを開いて、街灯の一部をクリックして下さい。一部が赤くなると思います。そこで、[編集][消去]を行って下さい。どうなるでしょうか?
 もう一度、同じものを開いて、街灯の一部をクリックしてから、今度は[編集][他選択][親グループ]を実行してから、[編集][消去]を実行して下さい。結果はどう違いますか?
 更にもう一度、街灯を開き、上の部分を選択してから[編集][移動・回転・スケール] を開き、zに5と入力し、OKボタンを押して下さい。
 このとき、「保存しますか」という質問には「いいえ」と答えて下さい。さもないと街灯が壊れたままになってしまいます。再度インストールすることになりかねません。

lesson 3.光源の設定(1頁)

Image7.tif
Image8.tif
光源の設定は、編集−光源設定で行います。ユーザーは、任意の地点に最大8まで光源を設定することができます。それぞれの光源には点光源か平行光源か、という条件と、光源の色・強さを指定することができる。便利な機能として、緯度経度・月日時分を入力し、計算ボタンを押すと、太陽の向きを自動計算します。
操作の実際としては、例えばサンプルのGROUND1.SCN または GROUND2.SCNを開いて、パースまたは平面の表示としておいて、光源を様々に変化させ、どのように情景が変化するかを眺めると良い。また、反射の感じを見るためには、新規作成:LSS−Gで、形状生成を選び、原点付近に半径0.1m程度の球を発生。5させて、光源を変えて見ると良い。
背景写真との合成を行う場合には、背景写真と光源の向きを揃えておかないと、不自然になります。
情景によっては、太陽方位から決まる点光源だけでは、まるで月面のようにコントラストが強すぎる場合があります(特に、建築物だけの場合等)。このような場合には、太陽が例えば正午に南中している場合であっても、東、西、北にやや青みがかった弱い光源を配置すると、天空光を加味したような自然なライティングとなります。残念ながら、天空光(面)を設定するような機能は、現在のヴァージョンにはまだありません。

lesson 4.様々の要素の配置 [編集][配置・コピー]

Image9.tif
Image11.tif
地形や市街地データの上に、様々の施設や点景を配置することができます。
配置機能は、LSS−Gデータ、景観データベースから検索した対象物、既に構築されている景観構成から選択した要素等に対して、用いることができます。
配置方法は、点配置のみならず、線配置・面配置が選択できます。
配置位置は、補助画面(平面図)の上で、マウスで指示します。

サンプルデータでの操作の実際としては、[ファイル][開くLSS−S]で、hodou2.scn を開き、[編集][配置・コピー]で、細長く現れた歩道の平面図の上の適当な場所をクリックして、配置位置を指定し、物体選択欄をチェックして、LSS−Gから例えば 001_01.GEO を選ぶと、歩道上に街灯が現れるはずです。ここで、編集画面上の歩道上の別の場所をクリックすると、街灯があちこちに踊ります。また、配置実行を押してから、別の歩道上の場所をクリックすると、二つ目の街灯が現れます。リストを見て、様々の物体を歩道上に配置し、賑々しくしていただきたい。
 次に配置モードとして、線上配置(スプライン)を選択する。点のクリック→次 を繰り返して経路を指定する(スプラインの場合、5点以上入力する必要がある)。次に[設定]のボタンを押し、複数の点景が選択されていれば、それぞれの比率を%で入力する。以上の準備を終えた後に、配置実行ボタンを押すと、指定した線に沿って街灯が配置される。
 また、[ファイル][開くLSS−G]で、東京都内のある場所の実測データから作った実際の都市空間に街灯や樹木や交通標識を配置していただきたい。向きは回転のZの欄(Z軸つまり縦軸まわりの回転角を示す)で調整する。視点位置が適当でないと、見えないので要注意。間違っても、LANDMARK.GEO等のような巨大な物体を配置しないでいただきたい。円谷プロの世界になる。
市街地自動生成の結果を用いて、配置を行ったり、地形データの上に市街地自動生成の結果を配置して町を作ったり、様々の操作の実際を工夫して下さい。

lesson 5.背景を使う:写真合成

 土木建築施設をこれから建設しようとする現場周辺の写真に、対象施設のデータを上書きすることにより、手軽に景観シミュレーションを行えます。
写真は、スキャナーで入力し、ファイル・コンバータによりSGI形式のファイルにします。
対象施設は、景観データベースから検索した過去の類例、CADデータからコンバータで作成したLSS−Gデータ、あるいは景観シミュレータの形状生成機能で作成したデータが利用できます。
対象施設を写真上の正しい位置に描くために、「視点抽出機能」が使えます。
原理は、単なる写真合成ではなく、背景となる写真の撮影位置・カメラアングルを復原計算し、これと同じ角度から構造物を眺めたパースを作り、重ねて表示することにより、正しい位置に写真合成を行います。従来は、経験と勘で行っていた作業を、支援しています。
(1) 背景イメージ・データの作り方
 写真を作成し、スキャナーで取り込み、コンバータを用いて、SGI形式のイメージ・データを作成します。
まず、現場で写真を撮影します。このとき、現場付近の地図(例えば各地方公共団体が用意している2500分の1程度の地図や、道路台帳付図等)が用意できれば、その地図の上で位地が確認できる物件が映り込むように撮影すると、あとの作業が方法化できます。
これをフィルム・スキャナーがあれば良いのですが、無ければプリントしたものを、普通のスキャナーで取り込みます。この操作は、スキャナーに大概付属している読み取りのユーティリティー・ソフトを用いて、取り込みます。その後、ファイル出力するのですが、コンバータを利用するのが前提であれば、TIFFかBMPの形式が良いでしょう。GIFでは256色に落ちてしまうのでもったいない。できれば、この段階まで、24ビット(フルカラー)の情報が失われない経路を選ぶのが良いでしょう。
 写真を取り込むまでに多くの苦労があるかも知れません。建築研究所でも苦労しました。イメージファイルには、様々の種類があります。しかし、OpenGLから出発した景観シミュレータでは、UNIXとの共通性を確保する観点からもSGI形式という特殊なイメージ・ファイル形式を標準としています。この形式は、スキャナー付属のソフト等はなかなかサポートしてくれず、作成するのに苦労しています。Macintosh上では、いくつかのイメージ・データ変換ソフトがあるのですが、Windows系では、まだ余りありません。
 建築研究所では、結局のところ、米国のNorth Coast Software, Inc から発売され、テクノコムという販売元から売られていたConversion Artist というイメージファイルコンバータを筑波地元のパソコンショップで17800円で購入し、これで、スキャナーから出力したTIFF形式のファイルをRGB形式に変換し、名前だけを.RGBから.SGIに変えて使おうとした所動かず、デバッガでバイナリの中身を調べると、1バイト、必要な情報が欠落していたため、ここにパッチを当てるソフトを作り、貿易の中のコンバータに組み込んで実用に用いています。モニタ・ユーザーからの意見で、入手が難しいと言われたので、輸入本に確認した所、まだ販売していること、上記のバグを認識していること等をコメントとしていただきました。店頭になくとも取り寄せて入手することは可能のようです。いずれは、bmp2sgiといったコンバータを作らねばなるまい、と覚悟しております。
 なお、イメージ・ファイルのコンバータの製作に取り掛かったことはあるのですが、例えばTIFFの場合、仕様書は入手可能ですが、様々のヴァリエーションを許すファイル形式なので、そのすべての仕様に対応するコンバータを作成することはかなりの労力です。当方にあるエプソンのGT6000付属のユーティリティが出力するTIFFに対応するものはすでにありますが、他の機種のものに対応できる保証はありま*.ん。
(2)構造物のデータを用意する。
例えば、歩道の仕上げを検討するような場合には、単純な長方形のデータで十分です。これは景観シミュレータの形状生成(後述)の機能で作成し、適当な名前で保存しておきます。
複雑な構造物の場合には、CAD等で入力し、付属のコンバータで利用するのが楽です。
この時、地図の上に、CADで入力した時の座標軸を設定し、周辺の写真に移っている事物の座標がわかるようにしておきます。上記の、形状生成機能で例えば歩道の長方形を生成した時も、その座標が地図の上でわかるようにしておきます。
(3)合成表示をする
景観シミュレータで、[ファイル][新規作成LSS−S]を実行します。
次に、[編集][背景][設定]で、先ほど作成した背景の写真を設定すると、その写真だけが画面に表示されます。
更に、[ファイル][読み込みLSS−G]で、構造物のデータを読み込みます。
構造物が表示されますが、でたらめの位置です。視点移動のボタンを操作して、望む位置に持ってくることも可能ですが、自由度が位置と回転で6、視野角(焦点距離)の1あを合わせた7次元もあるため、なかなか大変な作業です。やってみて下さい。
 そこで次項の視点抽出機能を使います。これにより、構造物が正しい位置に吸い付きます。
■なお、ファイル保存機能のバグのため、解析した視点位置を保存するためには、構造物データをロードした段階で、一度LSS−Sファイルとして保存しておき、視点抽出を行った後に「上書き保存」する必要があります。→直しました。

lesson 6.視点抽出機能

背景写真を、透視図と見なして、その中に写っている、座標値を明らかにできる対象物を手掛かりに、写真を撮影した視点位置、注視方向、視野角、傾斜角等を復元計算(標定)します。
これと同じパラメータで対象施設(3次元データ)の透視図を作成し、上描きすれば、正しい位置に収まります。
数学的には最低4点指定する必要があり、多くの点を与えた方が良い結果が得られます。
前項の、背景写真と、構造物が同時に表示され、位置はまだ合っていない状態から出発します。背景写真の中で、地図から座標が読み取れる場所、例えば隣の建物の隅とか、消火栓等を、クリックすると、そこに×が表示されます。次に、その物体の3次元座標値を入力し[次]のボタンを押します。この操作を最低4点について行います。意外な盲点は、例えば歩道の消点等で、これも目印になります。例えば東西に長い直線状の歩道が写っていれば、その消点に、YZはいい加減でも、Xの値として非常に大きな値(東であれば、10000等)を入力します。構造物を貼り付けたい大体の位置がわかればその場所に構造物の座標値を入力しても良い。
例えば、崖に擁壁を貼る場合には、その4隅に擁壁の座標値を指定しても良い。この場合、様壁はZ値ゼロの平面として作られていても大丈夫です(但し、東西X南北Y上下Zの原則は崩れますが)。
 最後に入力した点は、次ボタンを押した時点で有効になります。これを怠ると、一つ少ないデータに基づいて計算を行います。
入力が終われば、計算のボタンを押してください。かなり長い計算時間の後に、OKが現れれば、メイン画面で構造物が正しい場所に貼り付いているはずです。NGが出ても、かなり正しい場合が多いと思います。NGが出るのは、正しい答えがない計算をやらされた場合です。その原因は、座標値入力ミスや、指定した参照点の誤認等です。その場合、最も疑わしい点が白い×印で表示されますので、再確認してください。点の画面上の指定が不正確な場合には、正しい地点を指示し直して下さい。また入力した座標値が誤っている場合には、数値を再入力して下さい。直した上で次入力を押すと有効になります。わからない場合には、その点を削除して下さい。
応用として、写真を撮影した大体の場所等がわかっている場合には、参考情報として入力してください。これは最終的な計算結果には影響しませんが、正解に近い場所から計算を始めることにより、計算時間を短縮するという効果があります。
なお、3点以下で計算してもOKは出ます。しかし、この場合、計算問題としては解は無数にあるので、カメラ位置は、そのうちの一つを選んでいるに過ぎません。参照した点は正しい場所にパースされていますが、構造物は必ずしも正しい位置に来ません。
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お詫び:見え掛かりの処理が必要と考えています。つまり、例えば事例の YOUHEKI1.SCN のように、手前に樹木が見える擁壁の場合に、新しい擁壁を全部上描きしてしまうと、手前の樹木の部分も隠れてしまうからです。
このことは、現在の景観シミュレータでも原理的には可能です。即ち、背景以外に前景が用意できます。適当な画像処理ソフトを用いて、同じ背景写真から、構造物の手前にある樹木等のみを残し、残りを消去した(透明にした)画像を作成します。そして、これを前景として付け加えると、樹木が手前にあり、その後ろに構造物が、一番奥に背景写真がある画像を作ることができます。
このような編集機能が景観シミュレータの中にあれば、便利と考えておりますが、まだ実現していません。

lesson 7.原始図形の生成・構成要素の生成

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(1)パラメトリックな要素の生成について
景観シミュレータでは、市販のCADのような本格的な入力システム(いわゆるモデラー)を開発することには、あまり勢力を投入しないという方針で開発を進めました。しかしながら、最低限の形状生成機能は用意しています。即ち、直方体、球、円柱、円錐、円錐台、平面図形、線分等です。これらの多くは、パラメトリックな部品として外部関数化されているので、表示においては、メッシュ状に見えますが、外部ファイル、メモリ上のデータとしては、余り重くはなっていません。但し、ユーザがその一部だけ削除したり、表面仕上等の編集を行って再度保存すると、多角形の集合体に分解され、大きなデータになります。例えば球は、多くの面によって近似しますが、一つ一つを作ると、膨大なデータにすぐなります。しかし、球の存在を定義するためには、このメニューで指示する中心座標と半径、という4のパラメータで十分であり、メモリの大幅な節約につながります。つまり、球を「パラメトリックな部品」として定義したことになります。
操作の実際:[ファイル][新規作成LSS−G]で状況を用意します。
(2)原始図形の生成
[形状生成][原始図形]から、球を選び、半径を例えば0.5に設定して、[OK]を押すと、一瞬コンソールが現れて外部関数が実行され、形状が生成します。半径を大きくすると何も見えません。これは、あなたが発生した球の中に入ってしまったからかも知れません。その場合には、[表示][視点][全体視界]を選ぶことによって、とりあえず全体がどうなっているのかを確認することができます。
よくある悩み:例えば、市街地の中に形状生成で何かを作ろうとします。国土地理院の座標系で市街地のデータができている(例えば、LSS−GのMACHINAMI.GEO等)の場合、うっかり原点付近に小さな(例えば半径1mの)球を生成してしまうと、全体視界で見ようとしても、あまりにも広い(数十キロの領域)に小さな町が一つと、それからはるか隔たった座標の原点付近に小さな球があるだけなので、全体視界では何も見えません。よほど目の良い人は、小さな点を見つけるかも知れません。これはかなり危険な操作です。このようなLSS−Gファイルを一度作ってしまうと、後の処理が大変です。このような場合、別の景観シミュレータのセッションで、新規作成で形状生成:球を実行し、その結果を適当な名前で保存しておいて、配置機能を用いて町並の中に配置すれば、間違いがありません。
(3)構成要素の生成
 原始図形で説明したパラメトリックな部品の概念を少し応用して、少し複雑な図形を生成します。モデルとして、型鋼を生成する機能を組み込んであります。
操作の実際:[ファイル][新規作成LSS−G]の状態で[形状生成][基本構成要素][型鋼]を選んで下さい。特殊なメニューが現れます。L型鋼を選んで、A=1, B=1, C=0.5, D=0.1, H=1 と設定し、[OK]を押して下さい。ベンチのような形状が生成します。
Image17.tif
Image18.tif
囲み記事:

lesson 8.地形データの利用

Image21.tif
地形データの作成
  地形データを作成するには、ステレオ空中写真自動解析技術を利用することができます。この技術は、平成5〜6年度に建設省国土地理院が建設技術評価制度により民間6社の技術を認定したもので、空中写真から標高を自動解析したDTMデータを生成します。測量会社等では、既にデータ作成業務を営業開始しています。
景観シミュレータでは、このDTMデータからコンバータでLSS−Gデータを生成し利用します。
データの巨大化に対応した間引処理等を開発しました。
コンバータの操作風景(メニュー)
Image19.tif
Image20.tif
地形データは、建設省国土地理院が、平成5−6年度に建設技術評価制度により開発した、ステレオ空中写真自動解析システムの結果を活用することとしている。8システムが審査を受け、6システムが合格しています。この時に各社が審査を受けるために地理院に提出したファイル形式(dtm, dem)は、共通であり、各社共コンバータを開発済みなので、これを利用しています。
データを作成するためには、地理院の2万分の1空中写真(全国カバー、但し撮影時期は様々。欲しい場所の写真が新しいものだと幸運です)、または、独自に飛行機を飛ばして撮影したステレオ空中写真を利用します。これを、上記の評価に合格した測量会社等に持ち込み、データ解析を依頼すると、データカートリッジやDAT等の形でデータが入手できます。これを、貿易ファイル・コンバータにかけて、.geoファイルに変換します。なお、その際に、データの存在範囲、使用座標系等についての補足情報を、詳細設定のメニューの中で入力します。(詳しくは、ファイル・コンバータの章を参照)
なお、ファイル・コンバータにより生成した地形データの .geo ファイルは、一般の物体を記述した .geo ファイルと異なり、特に「地形である」という属性情報が付加されています。これにより、任意地点の歩行者の視点の高さを求めたり、地形に対して盛土切土等の加工を施すことが可能となります。
地形データを作成した後に、設計対象物を配置するには、「編集」−「配置」の機能を使用する。配置を行った結果は、新たなLSS−Gファイルとして保存することができます。
 三陸海岸の地形データを利用した経験では、128MBを搭載したPentiumPROマシンでも、1.5km×5km程度の領域について、間引かないデータ(2mメッシュ)は表示できませんでした。間引き率5(10mメッシュ)が漸く実用的な速度で表示できました。パソコンの更なる性能向上に期待したい所です。10mメッシュでは、道路や線路の形まで何とか見えてきます。ました。で表示出来mS−Gファイルとして保存することができる

lesson 9.可視範囲の解析・視点設定・移動経路

視点位置制御機能を起動すると、地図の補助画面を開き、可視範囲の解析、移動経路の設定(アニメーション)が行えます。この機能を用いるためには、地形データが用意されている必要があります。
(1)可視範囲解析
「編集」−「視点設定」−「可視範囲解析」で地図窓が開くと:
対象物が、どこから見えるかを自動解析する機能です。
解析結果は、視点設定や移動経路指定でも参照できます。
●可視範囲の解析:地形が用意されていれば、検討対象物がどの範囲から見えるかを自動解析できるようになる。
●利用者が指定した範囲から、対象物が見えるかどうか、また見えるとすればどの程度見えるかを解析する。
解析は、指定した範囲を桝目に区切って、それぞれの桝目について行う。桝目の細かさは利用者が指定できます(初期値100m)
解析結果の表示は、丸見えを赤、見えないを青とし、対象物の見付で何割が見えるかを地図の上に色塗り表示します。
解析結果は記憶され、視点設定や移動経路指定の作業の中で参照することができます。
なお、この操作を行うためには、窓を開く前に、検討対象を指定しておく必要があります。
(2)視点位置制御機能:視点設定
「編集」−「視点設定」−「視点設定」 で地図窓が開くと:
歩行者、子供、自動車運転者等の視点高さで、地図上で指定した位置から対象物を眺めた景観を指定する機能です。

地図窓の中で、地点を指定すると、主窓の中で、そこから眺めた景觀を直ちに表示します。視点の高さについては、歩行者、自動車運転者、子供の視点の高さのほか、地面からの任意の高さが指定できます。
これにより、正確な地点から眺めた景觀を検討することが可能になります。
(3)視点位置制御機能:移動経路設定
「編集」−「視点設定」−「移動経路」で地図窓が開くと:
将来の道路計画線等に沿った景観の展開を検討できます。
地図窓の中で、例えば道路計画線等に沿った移動経路を指定し、それに沿って視点を移動する。眺める方向として、対象物固定と、正面(移動方向)が選択できます。
・現段階では、視点位置制御機能は、シーンに対してのみ使用することができます。
操作の実際:簡単にこの機能を試すには、[ファイル][開くLSS−S]で、GROUND1.SCN(小さいデータ)、またはGROUND2.SCN(三陸海岸のステレオ空中写真の解析結果を、ファイルコンバータを用いてLSS−Gファイルにした地形の上に、横浜のランドマーク・タワーを建てたサンプルデータ)を用いる。
後者を用いた場合の操作概要を示すと、まずランドマークをクリックして検討対象物として選択する(赤く縁取りされる)。このデータは複数の親子グループから成っているので、一部分だけが選択される。そこで、[編集][他選択][親グループ]を実行して、タワー全体を選択する。
次に、[編集][視点設定]で、可視範囲解析を選択する。エリア指定ボタンを押し、補助画面の上で、解析したい範囲の左上と右下をドラッグにより選択する。解析開始ボタンを押すと、長考の末に解析結果が表示される。細かい解析が必要であれば、解析精度の欄に、解析の単位となる碁盤目割の格子間隔をメートル単位で指定する。
視点設定では、視点の高さ、仰角(0度で、真上から真下を見下ろす)等を指定し、補助画面の一点をクリックすると、その地点から対象物の方向を眺めたパースが主画面に表示される。視点の高さは、歩行者、自動車運転者、子ども等が選択できるが、この欄にメートルの数値を入力することにより、任意の高さから見た景観が眺められる。例えば100M等と指定すると、鳥瞰図が得られる。
移動経路指定では、経路指定のボタンを押し、経路上の点をクリックし、[次]ボタンを押す、という操作を繰り返して、経路を指定する。次に、ちょうどテープレコーダの再生ボタンのようなボタンを押すことにより、次々と視点が移動する。

lesson 10.シャッター機能とシーン選択

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シャッター機能
視点設定等の機能、あるいは主画面の中の視点移動等により、景観検討にふさわしい視点や、代表的な地点からの景観画像が得られた場合には、この視点情報を「シャッター」ボタンにより記録しておくことができます。いわばカメラ・アングルの記録保存です。
既に記録されている視点位置を再現するためには、「表示」−「シーン選択」によりリストを表示し、この中から選択します。
多くの記録されている視点位置を次々と表示するためには、主画面左下のシーン名称表示ボックスの右にある矢印ボタンを押す(右で駒を進め、左で戻す)。
 これは、プレゼンテーションを行う際に強力なツールになります。
シーン選択
あらかじめ登録してあるシーンを選択する機能です。LSS−S形式のファイルには、名称をつけて複数のシーン(無制限数)を登録することができます。シャッター機能により登録されるのもこのシーンです。シーンは、名前順にソートされて登録されています。シャッター機能により登録されるシーンは、視点位置を次々と変えるのみですが、この他に、同じモデルを用いながら、背景を変え、それぞれの背景に合わせた視点位置を設定したシーン系列、モデルを次々と変えるシーン系列、経年時間を変化させるシーン系列、光源条件を変えるシーン系列等を作ることができます。
 これらの高度な設定を行ったシーンは、景観シミュレータの編集機能だけではまだ効率的に作成することができません。使い慣れたユーザーであれば、メモ帳等のテキスト・エディタを用いて作成する方が捗るでしょう。数行を書き加えるだけで作成することができる。これらのデータ形式も全て公開されています。おたくの方は、メモ帳等で、LSS−Sファイルの中を見て下さい。
 CD−ROMに収録された、BRIDGE.SCNは、同じ背景・視点位置で、異なる形式の橋(モデル)を収録し、次々と比較するものです。
 シーンを切り替えるためには、左下の、シーン名称が表示されたボックスの右の、左右の矢印をもつボタンを押すと、シーンを次々と進めたり、戻したりすることができます。これにより、あらかじめ用意したシーン系列を用いて、効率的に評価セッションを行うことができます。また、[表示][シーン選択]で、シーン一覧表を表示し、その中からシーンを選ぶことによって、一足飛びに別のシーンにジャンプすることもできます。
 表示されている一つのシーンの中で、例えば視点位置の変更を行うこともでき、光源や経過年数等を変更することもできます。しかし、シャッターを使用せずに次のシーンに進めば、その情報はクリアされ、そのシーンを最初に表示したときの情景が保持されます。

lesson 11.経年変化機能

前述しましたように景観シミュレータは時間変化機能を持っています。時間により変化する材料属性は、マテリアルファイルの中に記述されます。それぞれのマテリアルに、時間区分毎に属性を設定できるようになっています。この時間変化するマテリアルを表面、あるいはグループに対して定義しておくことにより、時間変化する情景を表示することができます。時間変化は、[表示][経年変化]で、建築後日数として数値で指定します。また、経年が異なるシーンをシーンリストとして登録しておいて、これを次々と表示することもできます。
 操作の実際としては、KEINEN.SCNを開き、最初に登録されている橋を、経過年数を変えながら比較してみると良い。
 経年変化するマテリアルを、各部材の表面仕上げとして指定するためには、マテリアル・テクスチュアの編集画面を開き、マテリアルのラジオボタンを選んだ後、メニューの[登録色]で登録済みのマテリアル・ライブラリのリストを開き、使用するマテリアル・ライブラリを開き、その中から(経年変化する)マテリアルを選択する。操作そのものは、色やテクスチュアの指定と変わらない。
 マテリアル・ライブラリは、所定のフォーマットに従って、テキスト・エディタで作成し、kdb\materialのディレクトリに格納した後、kdbms.setに登録するが、この作成はまだ上級者向けである。

lesson 12.道路法面自動生成

この機能も、地形データが用意されていることが前提条件です。道路の断面形や、仕上げを指定するいくつかのパラメータを設定した後、道路中心線の軌跡、道路の高さ情報等を設定し、計算開始ボタンを押すと、かなり長い計算の後に、自動的に切土盛土された道路が現れます。当然ながら、このように自動編集された地形のデータは、元来複雑な元の地形よりも、更にかなりデータ量が増加します。
操作の実際:ground.geo等を開いて、適当にやって下さい。まだ失敗することも機能です。経路をスプラインで指定すると、成功する率が高いようです。地面をチェックして摺り付けないと、巨大な法面ができる場合があります。その場合、道路パラメータで、最大段数を大きくとっておく必要があります。法面は景観上の課題です。これを作らないようにすると、橋やトンネルばかりのハイコスト道路になります。法面のパラメータを色々変えたり、仕上げにテクスチュアを用いる等の凝った処理にすると、時間がかかる上に無限の可能性があるので、かなりの時間はまる可能性があります。計算時間が長いので、別の仕事をやりながら、結果を待つのが良いでしょう。
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          絵
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lesson 13.CADデータの活用

 大規模な構造物のデータを作成する場合には、景観シミュレータのモデリング機能だけでは困難であり、使い慣れたCADやモデラーを使用することとなるでしょう。その場合、景観シミュレータで活用するためには、ファイル・コンバータを使用する必要があります。
ファイル・コンバータは、「貿易」の中にまとめられています。これは、メイン・メニューの中で、入力ファイル形式、出力ファイル形式を選択し、詳細設定で、入出力ファイル名称、いくつかの変換条件等を設定し、変換実行することにより得られます。
 DXF形式に関しては、現在まで、AUTOCAD、MALTSCAD、MICROSTATION等に対応しています。AUTOCADの場合、現在はRELEASE 13Jとして、ソリッド・モデルを出力するようになっていますが、この形式についたは、マニュアルにファイル仕様が明記されておらず、暗号化が行われているので、ファイル・コンバータではまだ対応していません。しかしながら、ソリッド形式で入力された立体のデータに関しては、ポリライン形式(RELEASE12)で出力したDXF形式を、コンバータの側で線分の接続関係を解析し、立体を復原するようになっています。
 この他に、MACINTOSHで良く使用されているMINICADのテキスト形式、MICROSTATIONの形式(作成中)等をサポートしています。
 これらのCADにより入力されたデータは、面の属性を有していないので、景観シミュレータの側で表面の仕上を付ける必要があります。
machinami.geoは、Autocadで入力した結果を、コンバータで変換したものです。

lesson 14.市街地自動生成

 fullscr.exeという実行形式が、別途keikan\都市開発の下に格納されており、これにより地割データの上に、都市計画的条件設定を変えつつ、市街地を自動生成することができます。これは、景観シミュレータの将来の応用的拡張の一つのモデルとして、連携しつつ独立して動作する一つのシステムになっています。
 ある地区で、このシミュレーションを行うためには、以下の作業を行います。
(1)地割をディジタイザで簡単入力
 現在の所、ディジタイザの入力データ・フォーマットは、統一されていないので、受け口の部分をBASICで書いたconteur.basというソフトで入力し(現場にあるディジタイザの形式に、その場で合わせて修正することができる)、これを専用のdosベースのコンバータで地割記述ファイル(*.ldt)に変換し、このシステムの入力としています。  このシステムでは、メニューで、地割ファイル名、都市計画条件、敷地形状生成条件、建築類型、建築生成方法を指定した上で、簡易表示のために、日照方位、視点位置を指定し、再描画をメニューから選ぶと、生成結果を簡単にモニターすることができます。出力ファイル名を指定することにより、LSS−G形式のデータを生成します。これをsim.exeから開き、土木施設などを追加したり、編集することができます。
都市計画条件・建築類型から市街地生成
生成結果を簡易レンダリング表示
(LSS−Gデータとして保存し、更に編集)
太陽方位・初期視点を自動計算
(LSS−Sデータとして保存)
[ファイル]地割ファイル選択・出力名
[都市計画]容積率・高さ制限等
[生成条件]敷地生成・建築類型
[視点位置]距離・方位角・仰角指定
MENU: [太陽方位]緯度経度年月日から計算
[再描画]
[終了]
[ヘルプ]

lesson 15.景観データベースの検索

景観データベースは、景観シミュレータの配置機能等から利用することができます。また検索のためのブラウザが別途用意されています。
景観データベースは、建設省土木研究所が中心となって入力作業が進められつつあり、次の3のカテゴリーに分けられています。
ここでは、サンプル機能を、御試し頂けます。
優良景観事例
過去の建設事例から、モデル物件を、各分野について集めたものです。今後、各地での景観シミュレータの現場での運用実績に伴い、LSS−G形式の3次元データの蓄積が期待されます。喩えるならば、史料館のようなデータベースです。
景観構成要素
ダムに浮かぶ舟や放置自転車や郵便ポストや草葺農家やガスタンク等の、景観を構成するアノニマスな点景です。喩えるならば、国語事典のようなデータベースです。
景観材料
最近、各社から発売されている景観を指向した土木建築材料を集めたものです。構築にあたっては、各種材料メーカーの御協力を頂いています。暴露試験の結果を経年変化シミュレーションに活用します。古びて深みの増す材料もあります。これは、情報の新鮮さが求められる世界です。現在、ネットワークを通じて、メーカーからのデータの公開の仕組みについて検討がなされています。インターネットのように、1カ所に集約しなくとも最新情報を系統的に検索できる仕組みができると、理想なのですが。喩えるならば、求人広告のようなデータベースです。
若干の補足説明:
・データ形式について
 LSS−S、LSS−G形式については、建設省建築研究所刊行、「建築研究資料No.85 3次元CGによる土木建築施設のための景観検討システム−プロトタイプ版−」(1995.9)に概要を解説してあります。現在は、これから若干の拡張が行われています。
 システムの構成に関心のある方、コンバータやデータ・ジェネレータを自作したいと考える上級ユーザは、この資料を参照される他、サンプル・データのLSS−G、LSS−Sをエディタ等で見て頂けば、概要は把握できると思います。フルセットは、テクスチュアや経年変化するマテリアル、パラメトリックな部品の記述まで可能な構成となっていますが、情報を省略した簡単な記述でも、絵は出ます。コンバータの作成はかなり容易だと思います。いくつかのコンバータを書いた私の経験では、例えば去る3月に旭川の古い煉瓦造建物の実測調査をしながら、その現場のフランス積みの煉瓦の割付方法(アルゴリスム)をC言語で記述し、3次元的な煉瓦壁のデータを作って、景観シミュレータで表示できるような短いソフトを2時間程で作成することができました。
・ネットワークでの情報公開について
 現在は、建設省外からフリーウェアの要望があった場合、空のCD−Rを送って頂き、これに書き込んだものを返送する方法で配布しておりますが、この出版が行われる頃には、最新版を建設省建築研究所のホーム頁」(http://www.kenken.go.jp/)に開設されたアノニマスFTPでダウンロードできる体制ができているものと思います。この仕組みを通じて、データ形式や、ソースコードも公開していく所存です。また、建設省土木研究所(http://www.pwri.go.jp/)では、データベースの公開を行っていく計画を有しています。
・バグ情報等について
 限られた国費で開発しているシステムなので、様々のプラットフォームで実行させた場合に、予測できない障害が発生しないとも限りません。テストした機種等は限られています。そこで、バグ情報、対策等について、情報を交換できる体制も、上記のネットワークで構築できれば、と考えております。 3

景観シュミレータ(本体) keikan\simXXXX.exe

  1. 既に入力してあるデータを見る。
    「ファイル」−「開く」−「LSS-G」


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