■建築研究資料

都市防災計画のための東京都区部に関するフィジカルな市街地構造の実態調査 
−建ぺい率公共用地率・耐火建築物率の分布の実態について

高原  栄重

建築研究資料  No.5,  1973,  建設省建築研究所


<まえがき>

  この調査は、昭和67年頃を中心に発生が予想される大地震に備えた防災都市計画を立案するための基礎資料として、市街地のフィジカルな構造に関する実態調査を実施したものである。
  東京における地震被害の大部分は、地震に原因する被害地火災であろう。防災都市計画の主要課題は、現在のところ、この市街地火災被害をどのようにして防止軽減するかにあると考える。

  フィジカルな都市構造の把握の主要調査項目としては次のものが考えられる。
  1)木造建築物の分布の現状(建蔽率、容積率)
  2)公共空地及び個人空地の現状
  3)耐火建築物の現状
  4)危険物分布の現状
  5)人及び物の流動状況

  ここでは、この項目のうち、木造建築物の建蔽率、公共空地、個人空地、耐火建築物面積の実態について東京都区部を中心に調査した。
  われわれは一方で、市街地の延焼性状や空地及び耐火建築物の延焼防止効果の研究を実施してきた。また、地域別災害危険度や、被害予測の手法を検討してきた。
  防災都市計画は、これ等現状調査と、防災手法の開発のための基礎研究が総合され、都市計画的手法の中でシステム化される必要があると考える。
  また、都市計画は単に安全性だけを追求すればことが足りると言うものではなく、健康、利便、快適性等を同時に追求しなければならない。従って、防災を主眼にした都市計画はこれらの他の目標を実現するための都市計画及びそのプロセスと調整される必要がある。
  防災都市計画の提案は、戦後2〜3の人が案を発表した以外はほとんど見るべきものがない。現代の日本においてこの現状は奇妙なことである。
  われわれは一日も早く、たとえ欠点の多い案であっても、一つの成案をものにし、世の批判を受けるようにしなければならないと考える。すなわちこのことが、より研究の位置づけを明確にし、問題点を洗い出し、実現性のための隘路を認識させ、都市防災の推進に役立つであろうと信じる。
  この資料の執筆は高原が、データーの測定、図化は鈴木が行った。


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