■建築研究資料

既往の鉄筋コンクリート造耐震壁に関する実験資料とその解析

広沢  雅也

建築研究資料  No.6,  March  1975,  建設省建築研究所


<概要>

  最近,鉄筋コンクリート造建物等における耐震壁の耐震性能の重要性が,再び,重要視されるようになってきた。特に,近年では各種建築物の高層化が試みられており,そのため,耐震壁の構造性能も耐震強度のみではなく,変形性能も注目されるようになってきた。
  この資料は過去,我が国において行われた鉄筋コンクリート造耐震壁延179体の曲げせん断実験結果に関し,諸限界荷重時の強度や変形,荷重−変形曲線,き裂図等を収録し,その分析を試みたものである。
  その結果,せん断き裂強度,曲げ降伏強度,曲げ耐力,せん断耐力等について適合性の良い実験式を得ることができたが,それら諸限界荷重時における変形や剛性低下については,実験結果の頻度分布や定性的な分析結果を示すにとどまった。
  しかしながら,耐震壁の変形性能の改善に役立つと思われる,いくつかの定量的条件を明確にすることができた。

<謝辞>
  資料を引用させて戴いた実験の担当者各位の謝意を表すると同時に,本資料を作成するに当って協力して戴いた,日本大学卒業生,秋山友昭氏,東海大学卒論生安藤政則氏及び都留充氏に感謝致します。

筆者  建設省建築研究所第三研究部
基礎研究室長


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