■建築研究資料

集合住宅計画の問題点と今後の方向
−人工大地型集合住宅の可能性−

岡本  伸   瀬尾  文彰

建築研究資料  No.10,  1975,  建設省建築研究所


<序>

  当部における公共量産住宅に関する研究の流れを昭和40年(この年から研究テーマが一般研究と特別研究に区分された)から眺めてみると次のようになる(◎印が担当したテーマ)。

特別研究「住宅の居住水準,量産建設方式等に関する研究」(昭40,41)
  1.  住宅の居住水準と経済性に関する研究
  2.  公共住宅の建設水準に関する研究
◎3.  公共住宅の量産建設方式(昭40,41)

特別研究「(中高層)公共住宅の量産建設方式に関する研究」(昭42,43,44)
◎1.  量産住宅の構法に関する研究
◎2.  量産住宅の設計計画に関する研究

特別研究「住宅生産の工業化技術に関する研究」(昭45,46,47,48,49)
  1.  公共住宅の物理的居住水
  2.  住宅構成部材の性能
◎3.  高層量産住宅の構法(昭45,46)
◎4.  量産住宅建設技術の評価システム(昭47,48,49)

3.  住宅産業システム分析
一般研究 ◎「人工土地工法に関する研究」(昭50〜 )
特別研究 「量産集合住宅の標準化に関する研究」(昭52〜 )予定
特別研究 「人工土地工法の実用化に関する研究」(昭52〜 )予定

  研究テーマの名称は2〜3年毎に変わってきているが,この10年間に一貫していえることは,公共量産住宅の研究にあらゆる分野,角度にわたって,多くの研究員がその専門分野から検討を加えてきたことである。たとえば,RC造,PC造,壁式PC造,テイルトアップ工法,PS工法などの量産住宅について応力解析,耐力実験(部材や実大建物)を行ったり,PC接合工法,接合部防水,施工精度の実態調査などの材料施工法的な研究,また,量産住宅の設計要網,設計計画指針の作成,設計計画の基本調査,設計計画や構法のケーススタディ,試設計,試行建設における実態調査,公営住宅の建設における技術指導などである。このような研究は,第4研究部以外の研究部の協力は勿論であるが,日本住宅公団を始めとする外部の関係機関の協力に与るところが大きい。
  特別研究は応用研究であり,また内容によっては開発研究であるから,2〜3年の間に明確なアウトプットを要求されることが多い。公共量産住宅の研究においては,それがPS工法による8階建量産公営住宅であったり,リフトスラブ工法であったり,また,5階建壁式プレキャストRC造であったり,その成果はいろいろである。最近では,「量産住宅建物技術の評価システムに関する研究」に引きつづいて,「人工土地工法に関する研究」を昭和49年から開始しているが,これらの研究は,今までの公共量産住宅の研究を反省した結果として別の研究の進め方として選ばれたものである。本建築研究資料第10号においては,人工大地型集合住宅の可能性を検討するために集められた資料を整理すると共に,第4研究部の全部の研究員が参加した研究会のなかから出てきた考え方をまとめたものである。全体を通しての取り纒め役は瀬尾主任研究員が当り,研究会の委員長役は岡本室長が当った。前文にもあるように,このテーマは基礎的な調査・研究段階を終えたあとで,「人工大地工法の実用化に関する研究」という特別研究へ昇格させて,日頃の成果を役立つものに結実させたい所存である。

昭和50年5月


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