■建築研究資料

地震リスク・マネジメント技術を活用した地震対策の効果検証
 

地震リスク・マネジメント研究会(第U期)

建築研究資料  No.104,  2006,  独立行政法人建築研究所


<概要>

 新築あるいは既存建物の地震対策技術として、構造体の強度/靱性の向上、制振(震)、免震などが開発されてきた。そのような優れた構造技術を更に普及させるためにも、それらに投資することの利点を建物所有者に説明するためのソフト技術を整備する必要がある。
 このような背景を受けて「地震リスク・マネジメント研究会(第T期)」は、地震対策への投資効果を評価するための地震リスク・マネジメント手法を実用化した。この手法では、地震LCC(Life-Cycle Cost)を地震リスクととらえ、複数の設計案の中から、地震LCCを最小にする最適案を建物所有者に提示できる。各設計案の地震LCCを算出する際には、関連する研究分野(地震学、地盤工学、構造工学など)の最新の知見を導入できるので、その時々において、建物所有者に対して合理的な判断材料を提示できる。
 更に「地震リスク・マネジメント研究会(第T期)」は、上記の地震リスク・マネジメント手法を用いて、新築および既存の各種建物を対象として、強度型、制振(震)、免震などの地震対策への投資効果を検証した。ここでは、地震調査研究推進本部により発生確率が高いとされる宮城県沖地震と南海地震(いずれも海溝型地震)を考慮して、各建物が宮城県仙台市あるいは高知県高知市に建っていると仮定した。
 本研究では、地震リスク・マネジメント技術の更なる応用を目指して、手法を体系的に整理する。その地震リスク・マネジメント手法を活用して、各種建物について地震対策への投資効果を評価する。本研究では、建物位置を東京と仮定し、海溝型地震だけではなく活断層やバックグラウンド地震もリスク解析に考慮する。本資料は、これらの研究成果を報告するものであり、以下の各章で構成されている。

 第1章では、研究の背景および必要性、研究の目的、本資料の構成が示されてい
 る。
 第2章では、本研究で用いる地震リスク・マネジメント手法が整理されている。
 第3章では、第2章の手法を活用して、各種建物の地震対策への投資効果を評価
 している。
 第4章では、第1章から第3章を総括している。

 なお、本資料の著者である「地震リスク・マネジメント研究会(第U期)」は、独立行政法人および民間企業8機関が参加する研究会である。本資料の附録1では、「地震リスク・マネジメント研究会(第U期)」の活動内容が報告されている。


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