■建築研究報告

建物火災時の避難性状予測モデル

田中哮義, 高橋清

建築研究報告  No.119,  1989  建設省建築研究所


<概要>

  本「避難性状予測モデル」は建設省総合技術開発プロジェクト「防火設計法の開発」の中で開発されたものであり、建築物の避難安全設計において、建物内空間の避難上の有効性の評価、問題点の把握のために用いられることを意図したものである。
  本モデルは避難能力の一様な避難者が、設計者の計画する避難方向へ整然と避難することを仮定し、避難開始後の時々刻々の建物内避難経路上の各空間内の避難者数、各開口部の滞留者数を予測する。この予測を基に設計者は避難に要する時間や避難上のネックになる部分を把握することができ、避難路の容量の決定や、煙制御等による避難経路の保護の決定にフィードバックすることが出来よう。
  本報告は今回用いた「避難性状予測モデル」の理論、これに基づいた予測計算プログラムの説明、使用方法、プログラムリスト、および予測モデルの妥当性検証のため幾つかの予測結果と実測結果の比較を与えている。
  本予測モデルの開発にあたっては、現時点での避難関係研究の成果には十分考慮を払った積もりであるが、言うまでもなく未だ完全ではないので、今後も新たな研究の成果を取り入れながら改善を計ってゆく必要があると思われる。またモデルの対象空間としては、ごく一般的なものを想定せざるを得なかったので、計算プログラムも場合によっては必ずしも計算に便利でない場合が生ずる可能性がある。このような事態が生じた場合には、使用者の側で適宜モデル本体や計算プログラムを変更して使用して戴ければ幸甚である。本報告て計算プログラムの説明をかなり詳しいものにしたのはこの意図からである。


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