■建築研究報告

建築物の規制・誘導手法による市街地景観形成に関する調査研究

河中 俊

建築研究報告 No.136,1998  建設省建築研究所


<概要>

  本調査研究は、良好な景観の形成・維持の観点から、市街地において多数の人々が歩きその地域を代表とする顔となるような道路に面する建築物の形態等の改善手法を考察した一連の作業をとりまとめたものである。以下の各部と各章ごとに個別の調査を行った。

  第I部「望ましい市街地景観の実態」では、文献調査による市街地景観の類型化を行った後、全国の比較的良好な市街地景観を有する23街路を対象に現地実態調査を行い、市街地景観の諸指標を抽出した。

  第II部「市街地景観を規定する規制手法の実態及び問題点」では、文献調査により、建築物形態規制に係わる現行法制度の概要を整理すると共に、その問題点を明らかにした。さらに、東京都渋谷区及び新宿区を対象に、斜線制限に的を絞った建築物の実態調査を行った。

  第III部「地域特性に応じた市街地景観の誘導方策」では、文献調査及びヒアリングの実施により、地方公共団体による総合的な市街地景観形成の手法を分析するとともに、新規市街地及び既成市街地においてマスターアーキテクト制度がどのように機能するかを検討した。また、既成市街地の景観誘導を進める上で有効なツールとして期待がかかる「街並み誘導型地区計画」の概要を整理すると共に、その活用方策を検討した。

  第Y部「市街地景観誘導方策のケーススタディ」では、東京都千代田区神田神保町地区及び神田多町大通り地区を対象として実態調査を行った。神保町地区においては、狭小間口敷地の連担する地区における景観形成をテーマに、また、神田多町大通り地区においては、街並み誘導型地区計画による景観形成をテーマに分析を行った。

  本調査研究は、市街地景観に対して建築物の形態が関わる要因、特に建築基準法等が影響する要素を分析したことと、地区計画等によって景観を誘導する可能性の検討を行ったことを一つの特徴としている。


第一研究部住環境計画研究室長


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