■建築研究報告

無機質防火塗料の研究

森本  博

建築研究報告  No.3,  昭和25年1月


<概要>

  無機質塗料は一名又防火塗料とも云はれ普通の塗料がオイルを伸展劑とするのに對して,此の塗料は伸展劑として用いるものが,水硝子か或はマグネシアと苦汁であって,廣い意味での水性塗料の一種である。防火塗料は大別すると無機質防火塗料と有機質防火塗料に區別されるが有機質系統のものは,まだ試驗試作の域を出でず製造實驗も行っていないので茲では省略して前者のみについて報告する。
 無機質塗料を實際に防火塗料として使用し始めたのは比較的新しいことで我が國で實際にとり上げられたのは昭和15年頃よりであって昭和17年6月27日に舊内務省告示で防空建築規則に依って始めて屋内用防火塗料規格が法規に制定されて防火地區の防火改修工事に使用されるようになったのである。
 それ以前は勿論系統的に組織立っては研究されてをらず他の塗料に比して研究及び使用の歴史が淺くて,學問としての體系づけが未だ不完全で基礎的な事も完全に研究されてはいない。殊に防火改修工事後殆んど直ちに云ってもよい位に空襲に依って燒けてしまったので其の耐久度は勿論のこと,耐火度も他の材料と比較檢討する事が出來ずに終ってしまったので,此の意味で本研究では基礎及び製造實驗の他に實際に防火處理を行へる家屋の火災實驗をも加へて報告する。

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