■建築研究報告

世界地震活動地域における地震危険度Map  
−地震活動度に基づいた最大加速度、最大地動速度の地域的分布−

服部  定育

建築研究報告  No.88,  1980  建設省建築研究所


<概要>

  本研究の目的は、世界の地震活動帯に位置するいくつかの国の地震危険度mapを作成することである。ここでいう地震危険度mapとは、Seismic zoning mapとも呼ばれ、地震活動度に基づいた地表あるいはしかるべく定義された基盤における最大地震動のあるReturn periodに対する期待値の地域的分布のことである。
  著者は以前に日本付近の地震危険度mapを作成した(1)。また、著者の作成したmap及び他の研究者による同種の研究に基づいて建築・土木工学の耐震設計に用いる地震の地域係数の分布図を作成した(2)。米国、その他2,3の国においても同様のものが作成され利用されている(3)。しかし多くの発展途上の国では、その国が地震活動度の高い地域に位置し、しばしば大地震にみまわれ、大きな被害を受けているにもかかわらず、この種の研究がなされていない場合が多い。第1回自然災害防止に関する国際会議(International Conference on Engineering for Protection from National Disasters)(4)におけるWorking Group E2(Ground Motion and Seismic Risk)は発展途上国における地震災害防止のための6つの提言をしており、その中の1つとして、発展途上国の地震危険度mapの作成を、これらの国々及び日本・アメリカ等の協力のもとに早急に作成すべきことをあげている。
  本研究では、(i)過去の地震資料(主として、NOAA(National Oceanic and Atmospheric Administration Environmental Data service)による地震資料、但し一部の地域では、その地域で収集された歴史地震の資料をも含む)。(ii)金井による基盤での最大地動速度を与えるAttenuation model及びOliveira-McGuireによる地表での最大加速度を与えるAttenuation model及び、(iii)Gumbelの第3漸近分布を利用した。同一の地域に対して作成されたmapの種類は(a)基盤における最大地動速度に関するものと(b)地表における最大加速度に関するものとである。そのReturn periodは中国地域に対しては、50,100,200,300年の4case、その他の地域では50,100,200年の3caseである。

  本研究で地震危険度mapを作成したのは以下の14の地域である。(1)Balkan(2)Turkey(3)Iran(4)India(5)China(6)Indo(7)Indonesia(8)Australia(9)Philippines
(10)Mexico(11)Central America(12)Peru(13)Chile(14)New Zealand.



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