応急危険度判定支援ツールの開発
   〜App Storeで訓練版の無償配布を行っています〜

(Last Update:2013/09/27)
■はじめに

 阪神淡路大震災、東日本大震災のような震災の発生後、市町村は被災建物の倒壊等による二次的災害を防止するための応急危険度判定や、住家の「り災証明」のための被害認定調査など、被災者の安全を守り、復旧・復興や生活の再建を支援するために建物の被災状況についての現地調査を効率的かつ迅速に実施する必要があります。また、被災状況から多くを学び、より災害に強い建物やまちをつくるため、研究機関などによる現地での詳細な調査は必要不可欠です。
 このように重要な意義を持つ被災建物等の現地調査を効率的に実施するために、(独)建築研究所では、国際航業(株)の協力を得て、携帯型情報端末を活用した「被災建物調査ツール」の開発を進めています。これは、現在主流となっている携帯型情報端末機器(iPadやiPhone等のiOS機器)で動作するものです。そして、被災建物調査ツールの活用を図るための最初のステップとして、「応急危険度判定支援ツール」(以下、支援ツールと呼ぶ)を作成しました。これは、被災建築物の応急危険度判定の調査表入力に特化した、被災建物調査ツールの一種です。
 支援ツールの訓練版を平成25年9月24日 から、アップル社のApp Storeで無償配布しています。訓練版という名称ですが、インターネットに接続した環境下であれば、実際に調査表の作成や保存が可能です。これまでも、全国被災建築物応急危険度判定協議会(以下、協議会と呼ぶ)のご協力を得て、地方公共団体の実地訓練等において開発段階の支援ツールを試用して頂き、その際のご意見やご要望を反映して支援ツールの改善を行って参りました。それに加え、今般開始したApp Storeでの無償配布を通じて、全国のiOS機器をお持ちの応急危険度判定士など関心のある方々に支援ツールを試用して頂き、その操作性や機能等についてのご意見やご要望をお寄せ頂くことで、将来の大規模地震の際の対応に備えて支援ツールの改善を行っていきたいと考えています。
 実際の地震発生時の応急危険度判定で支援ツールを利用できるようにするためには、さらに検討や準備を進めることが必要です。今後、引き続き協議会にご協力をいただき、実際の判定活動での活用に向けて、支援ツールの機能追加や改善、支援ツールを用いた判定業務の運用方法の提案等に取り組んでいく予定です。


■支援ツールの概要

 図1は支援ツールの入力・表示のイメージを示したものです。地図画面上で調査対象建物の位置を指定すると調査項目の入力画面になり、画面をタッチして調査データを入力します。また、iPad等の内蔵カメラを用いて写真を撮影し、調査データの1つとして管理することが可能です。データの入力が終了すると、調査した位置にピンが表示され、どの建物の調査が終わっているか簡単に把握できます。
 GPS機能やデジタルカメラ機能を内蔵したiPadやiPhone等を用いることで、紙ベースの地図や複数の機器・ツールを用いて行ってきた従来の作業を1台の端末機器で行うことが可能となります。

図1 支援ツールの入力・表示のイメージ


■支援ツールの特徴

@ 調査対象建物の特定が容易
従来の方法 支援ツールの方法・メリット
紙の地図を頼りに調査対象を確認 GPS機能を用いて画面地図上に現在地が表示されるため、調査対象建物に容易にたどり着くことが可能
 現地に不慣れな調査員でも効率的な調査の実施が可能

A 現地でのデータ入力が容易
従来の方法 支援ツールの方法・メリット
紙の調査表に手書きで記入 紙の調査表と同じ入力画面が表示されるので、端末の画面をタッチして入力
  選択式の項目は、プルダウンメニューで入力・修正
  文字や数値は、画面上のソフトウェアキーボードで入力

B 調査後の整理・集計作業が容易
従来の方法 支援ツールの方法・メリット
調査表からパソコンへのデータ入力(手作業)が必要 iPad等をパソコンに接続しデータを転送するだけで、Excel等に取り込んで即座に集計・検索が可能
  入力作業が不要で、時間短縮と労力削減
  転記ミスが無くなり、確認時間が短縮
地図への結果記入(手書き)が必要 パソコンに転送されるデータに含まれる調査表の位置情報(経緯度)が利用可能
 GISソフトやGoogle Earth等を用いて地図表示が可能
 地図から調査表を検索することが可能

C 写真の撮影と管理が可能
支援ツールの新たな機能
調査時に写真を撮影する必要が生じた場合、内蔵カメラで撮影することで写真と調査表の関連づけが可能
  写真データを調査表データとの対応がとれた形で保存
  調査対象建物に貼付した判定ステッカーの写真を保存可能


■支援ツールの入手方法(訓練版)

 アップル社のiOS機器用のソフトウェア配布サイトである、App Storeにおいて「応急危険度判定支援ツール(訓練版)」というアプリ名で訓練版の無償配布を行っています。App Storeの検索画面で「応急危険度」というキーワードで検索すると簡単に見つけることができます(App Storeで公開している訓練版はあくまで訓練や試行用のものであって、実際の応急危険度判定の際にはお使いいただけません)。


■操作マニュアルについて

 アプリ本体に内蔵している簡易マニュアルのPDF版をここからご覧頂けます。より詳細なマニュアルは現在準備中であり、後日このWebページで公開予定です。
 操作に際しては、特に、以下の点にご注意下さい。

  • 調査表入力時、調査2、3の入力後に誤って調査1「一見して危険と判定される」のいずれかの項目をタップすると、それまでに入力していた調査2、3の内容が全て削除されます。元に戻せませんので、誤って押さないように十分注意して下さい。
  • 調査表に数字や文字を入力する際に、「¥」記号を入力しないで下さい。「¥」記号が入力されていると、調査結果のファイルが空の状態で出力されます。
  • 端末の通信状態が悪い場合、調査表の住所欄は自動入力されません。住所が空欄の場合には、手動で入力して下さい。
  • 調査表の保存後にピンの位置を修正した場合、住所欄の住所は自動的に修正されませんので、手動で修正して下さい。


■動作環境

 iOS4.3以上が動作するiPad、iPhoneおよびiPod touch。
 ※初代iPadおよびiPod touch(第3世代以前)ではカメラが内蔵されていないため写真撮影機能が利用できません。


■FAQ

※準備中


■問い合わせ先

<<アプリに対するご意見ご要望、質問等について>>
 実際の応急危険度判定作業は応急危険度判定士でなければ実施することはできませんが、このアプリはどなたでもダウンロードして、応急危険度判定の調査表入力を体験して頂くことが可能です。支援ツールに対するご意見やご要望がありましたら、以下のサポート用メールアドレスにご連絡下さい。ツールの改善のため、多数のご意見やご要望をお待ちしております。
 また、iOSアプリケーションの動作の不具合などにつきましても、以下のサポート用メールアドレスにご連絡下さい。その際、・使用している機器名称(例:第3世代iPad・3G・Retinaモデル等、できるだけ詳しく)、・iOSのバージョン(iOS6.1.2等の詳しいバージョン名)を必ず記載して下さい。
 なお、サポート体制の都合上、お送り頂いたメールに対して個別にご返事をすることが出来ない場合が予想されます。FAQ欄に記載することで個別のご返事に変えさせて頂きますので、何卒ご了承下さい。

・サポート用メールアドレス
 

<<アプリを使った実地訓練等について>>
 地方公共団体の職員の方など、実務で応急危険度判定に携わっていらっしゃる方で、iOS機器を用いた応急危険度判定の実地訓練等についてのご質問やご要望がございましたら、以下の担当者宛にご連絡下さい。

独立行政法人建築研究所
住宅・都市研究グループ 主任研究員 石井 儀光  




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