■建築研究資料

柱が鉄筋コンクリ−ト造・はりが鉄骨造である柱−はり接合部の耐力と変形

山内  泰之,   西山  功,   長谷川  隆

建築研究資料  No.71,  1990.9,  建設省建築研究所


<概要>

  本研究では、柱が鉄筋コンクリート造、はりが鉄骨造である混合構造ラーメン架構における柱はり接合部の耐力と変形に及ぼす1)鉄骨はりフランジ幅、2)床スラブの有無、3)直交ばりの有無、4)柱の主筋量の大小、などの影響を柱はり接合部部分架構実験により検討した。その結果、以下の事項が明かとなった。

(1)柱はり接合部を含む部分架構の履歴性状は、実験変数によらず多かれ少なかれスリプ形の復元力特性を示し、床スラブあるいは直交ばりの有る場合にそのスリップ傾向が顕著であった。
(2)柱はり接合部を含む部分架構は、最も変形能力に乏しい試験体でも1/40ラジアンの層間変形角まで体力低下を生じなかった。
(3)鉄骨はりフランジ幅の増加、床スラブの存在、直交ばりの存在及び柱の主筋量の増加によって柱はり接合部部分架構の耐力上昇が見られた。
(4)柱はり接合部パネルゾーン内のコンクリート部分のせん断耐力は、鉄骨はりフランジ幅の増加とともに上昇した。その耐力上昇割合はフランジ幅の増加割合よりも小さかった。また、コンクリート部分のせん断耐力は、床スラブの存在により耐力上昇した。これは、鉄骨はりを合成ばりと考えてその応力中心間距離によりコンクリート部分の有効体積を評価する方法により定量的に推定できた。
(5)柱はり接合部のパネルゾーンの最大耐力に関して、日本建築学会の鉄骨鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説(1987年改定)はやや危機側の評価を、Deierleinらの提案式は逆にかなり安全側の評価を示し、今回の実験結果には西村ら及び井崎らの提案式の対応が良かった。より詳細に検討すると、西村らの提案式では鉄筋コンクリート柱の主筋量の影響を過大評価する傾向があること、井崎らの提案式では鉄骨はりフランジ幅の影響を過大評価し、柱の主筋量の影響が考慮されない事がわかった。


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